少年少女のお話

□メカクシ団 遊園地にて
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「じゃあ話も終わった事ですし・・・遊園地に行きましょう!」
「だから昨日の今日でそれはないだろ・・・」
「貧弱だなシンタロー。俺なんて銃で撃たれたのに遊園地行く気なのになー」
「お前とは体力の差がありすぎるんだよ・・・」
「体力の問題か?」
「それに行くにしてもあのデパートの遊園地は封鎖されてるだろうし・・・」
「・・・あそこはどう?森林公園をそのまま遊園地にた感じの」
「ああ、あそこか」
「おい・・・それよりもこの状況の説明してくれよ・・・誰コイツ等?」
「・・・カノ。よろしく」
「はーい」

カノ説明中(強引に入団させる手口実行中)

「そういう感じでやってますね」
「おい!」
やっぱりこの手口か・・・
「あー、カノが喋り過ぎたので、シンタローはメカクシ団に入団って事になったよ」
「はあ!?」
「そうなるだろうね・・・モモが『団員No.5』で、俺が『No.6』。エネが『No.7』だから・・・シンタローは『No.8』だね」
「は・・・!?ちょ・・・え!?」
「異論は認めないぞ」
「もうなんでもいいや・・・」
「じゃあさっそく出発しましょう!」
「俺は後から行く」
「僕も後から行くからねー」
「はいよー」



移動中
「はあ・・・」
シンタロー、なんか元気ないな・・・よし。さっきセトの能力手に入れたし使ってみるか。

(母さんオレ友達できたよ!メカクシ団って言うのに入ったんだ!団員No.8だよ!・・・・・え?オレの歳?やだなぁ母さん忘れたの?十八歳だよ!―死にたい。これは死にたい。絶対に言えない)

「あー・・・シンタロー。あんまり気にするな」
「ああ・・・てか勝手に心除くな」
「ねぇ、お兄ちゃんホント見てるだけで暑苦しいんだけど・・・・・その服全然イケてないし」
まあたしかにこの炎天下の中ジャージだったら暑いだろうな。
「別に直接迷惑かけてないだろ?っつ〜かお前こそ何だよその服・・・バラエティ番組の罰ゲームみたいになってんぞ?」
・・・確かに。
今気づいたのだが、モモの服には大きく『鎖国』と書かれていた。
・・・普通売ってないだろそういうの。てかハタから見たら「あ、この人相当悪い事して罰受けてるんだ」って勘違いされるレベルだなこれ。
「はぁ?この服のかわいさがわからないとか・・・やっぱりお兄ちゃんセンスないよ!」
兄妹揃ってセンスないとオレは思う。
「っていうかお兄ちゃんこそ、そのジャージ、お笑い芸人のヒッチハイク企画のつもり?どっかの農家さんでも訪ねて野菜の美味しさで号泣してきなよ」
「うるせぇよ。知ってんだぞ、お前、毎晩一人でゲームのプレイ実況見て笑ってんの。あれ気持ち悪りぃよ。あたりめ喰いながら部屋暗くしてさ。おっさんかっての・・・」
俺が如月家での居候生活の初日に聞いたあれか。
「ちょっ・・・なんで!?なんでそんなこと知ってるの!?」
「そらバレるだろ。ドア閉めてればバレないだろうけどいっつも半開きで変な声聞こえてくるから」
「ちなみにその音声ありますけど聞きます?」
エネよ。いつの間にそんな事してるんだ・・・
「とりあえず流さなくっていいから。電池消耗するし遊園地に着くまで電源きっといたら?」
「それもそうですね。じゃあ遊園地に着いたら教えてください」
「はいはい」
「そういうお兄ちゃんこそ!!」
「なんだよ?」
まだやるか。
「な〜に楽しそうに話してんすか!!」
シンタローの背中をバンッ!と叩くセト。
「いでぇ!」
「あ、セト」
ナイスタイミング!
「あんたは・・・ええとゼットさんだっけ?」
いや、セトだし。どこぞの「ゼーット!」って言ってる歌手にならつけてよさそうなあだ名だけどな。
「ぐふっ」
モモの肘鉄がシンタローの脇腹に当たった。
やりすぎだと思う。
「セットさんだって!朝紹介したばっかでしょ!?」
「お前も違う。セトだから」
てかゼットって間違えたのお前のせいじゃないか?
「・・・おい。どういうことなんだよ・・・」
「お、お兄ちゃんだって間違えたでしょ!?私の方がちょっと近いし・・・」
「そういう問題じゃないだろ。てかセットってなんだよ。その前にセトってこいつのあだ名じゃなくて名字だからな。せめて高橋とかありそうな名字で間違えろよ」
「はははは!かっこいいじゃないっすかセット!」
「お前も少しは訂正しろよ・・・つかなんでマリーはセトにおんぶされてるんだよ」
「疲れた・・・」
「二年間ヒキニートだったシンタローより体力無いって相当だな・・・」
・・・でもキドの話だとこいつもシンタローみたく引きこもりっぽいしな。
「・・・マリーさ、いっその事なんか・・・バイトでもしたら?一日ワンコインの造花作りの内職よりもそっちの方が儲かるし、体力もつくしさ」
「無理・・・!」
いきなり目に涙をうかべるマリー。
まずこの人見知り直さないとな・・・無理だな。
「でもみんなホントごめんね。私のせいで歩かせることになって・・・」
確かにバスとか、少なくとも徒歩よりはマシな移動手段があったはずだ。だけどモモの目を奪う能力をカバーしてる目を隠す能力は他人に触れられるととけるし・・・という訳で徒歩という結論にいたった。
「・・・そういや目を作る能力でなんとかならないのか?アレってなんでも好きな能力作れるんだろ?」
「俺もそう思っていろいろ試してみたんだけど・・・やっぱりまだ使いこなせてないせいか明確なイメージがないと作れないんだよね。目を貸す能力だってセトの目を盗む能力の反対だったから作れたしさ。まあいろいろ新しいのはできたんだけどね」
「どんなのっすか?」
「例えば・・・キドの能力の出力範囲とカノの能力を合わせた能力。名前はまだ決まってないけど・・・多分使い道ないと思う・・・あ、遊園地ってあそこじゃないか?」
少し先にある大きな森の中に観覧車やジェットコースターがチラホラ見えた。
なるほど。たしかに森林公園をそのまま遊園地にした感じだな。




バス停近くでキド達に合流し、遊園地に入った。
「さて・・・まずは何に乗る?」
遊園地のマップを見る限り、お化け屋敷やメリーゴーランドなどオーソドックスなアトラクションばかりらしい。
「じゃあジェットコースターにでも乗るか」
「「!!!」」
「どうかした?」
なぜかキドとシンタローの表情が恐怖に満ちた。
「じゃあ早速並びましょう!」
「あ・・・俺は・・・そこらへんで待ってるから」
「俺も違うアトラクションに・・・」
「え−!?一緒に乗ろうよ−!」
「いや・・・俺は・・・」


強制連行
「大丈夫。怖くない。大丈夫」
「大丈夫だシンタロー。目を閉じれば楽園だ」
おい、約二名。連れてきた側の俺が言うのもなんだが、ものすごくうるさい。
ガタンッ とジェットコースターが発車した。
「私ジェットコースター初めてだからよくわかんないんだけど・・・落ちるんだっけ?」
「まあそうっすね」
「いやー、楽しみですね」
「そうだねー」
「大丈夫。大丈夫」
「大丈夫。大丈夫」
精神的に大丈夫じゃない。てか俺も気滅入るわ。黙ってくれないかな。
そうこうしているうちに斜面にさしかかり・・・
「わーーーー!」
「おおおおおおおおおお!」
「ひぎゃあああああああ!」
ジェットコースターのスピードはどんどん増し、様々な悲鳴が聞こえてきた・・・約二名の声は悲鳴というより奇声になってるけど。なんとなく後ろを見ると、恐怖で見たことのない表情になっているシンタローと泣きまくってるキドが見えた。
「あああああああああ・・・・うぷっ」
約一名重体です。



「楽しかったね−!」
「そうっすね!次はどこに行くっすか?」
「そ・・・そんなに怖くなかったな!」
泣きまくっていたやつが何を言う。
「・・・おいシンタロー、大丈夫か?顔面蒼白だぞ?」
「うっ・・・・・お・・・(自主規制)!」
「シンタロー!?」
「誰かー!水かなんか持ってきて!」
何が起こったかって?ご想像にお任せします・・・てかわかるよな。
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