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□占領したい貴方の思考
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あたしの好きな人は


ダンス馬鹿


三度の飯よりダンス


そうでしょ、ジョンオプ



 

ふと隣をみれば


いつものようにへらへらした笑顔


視線を感じたのか


あたしを見てにこりと笑う



笑うと目がちっちゃくなる


人懐っこいその笑顔が好き



だけど


「ジョンオプくーん」


「皆おはよう」


皆に振り撒く笑顔は嫌い



 
あたしを撫でるジョンオプの手が好き


あたし以外の女の子を触れるジョンオプの手が嫌い


 

ジョンオプの踊るダンスが好き


ジョンオプの頭の中を支配するダンスが嫌い
 



仕方ないか、


筋肉質であたしが大好きなジョンオプの腕も


ダンスのおかげなんだから



そんな言い訳をしながら


腕を触ると「本当僕の腕好きだねー」なんて


また笑った



 

違うのよ、


あたしは

 


「嫌い」

 


「え?」


 

「あんたなんか大嫌い」



 
視線をジョンオプから逸らさずに


真正面から嫌いと言えば



「なんで」



ジョンオプは首を傾げる



「嫌いよ、」



少し哀しげに曇るジョンオプの笑顔



「ひむ子、「やだ」



肩に沿えられた手をはたいて


荒々しく椅子から腰をあげれば


哀しげなジョンオプの瞳とぶつかる


 

「ジョンオプ、嫌い」



あたしはそう


教室の扉をぴしゃりと閉めた

 


 

占領したい貴方の思考
(あたしのことだけ考えて、
     そんなこと言えない)



 
朝のホームルームでも始まったのか、


やけに静かな校内をひとりで歩けば


 
ほら


聞こえてきた



誰かが廊下を駆ける音


 

ぐっと腕をひかれて


振り返れば


息を荒くしたジョンオプがいて



「何処行くんだよ、」



哀しげなままの瞳に捕まる



好きだよ、


たとえ哀しげな瞳でも


あたしのせいで曇った瞳なら。



 
「嫌いなんて冗談よ」



あたしが笑ってそう言えば



「え、本当?」



嬉しげに目を細める。



 




やっぱり嘘


哀しげな瞳より


明るく輝くジョンオプの瞳が好き


 

教室に戻ろうと繋がれた手に



「ねえ、ジョンオプ」


「ん?」


「なんでもない」



そっと指を絡めた



 
       -おわり-

 
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