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□貴方に見とれています
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「あ、」


今日もいる


 

最近開店したばかりの花屋さん


コンビニに行く途中にあって

気にも留めてなかったんだけど。


 

天使を見たんだ


たくさんの花に水をあげて


微笑む天使を。




言い方くさいかもしれない



でも本当に天使みたいで


隣に立てたらなんて



 

「あの人綺麗ですよね」


隣のジュノン呟きで思考に耽っていた意識が戻る

 

何故だろう


ぎゅっと痛くなる



....綺麗だよな


やっぱり綺麗だよな



思わず手を握り締めれば


コンビニ袋の摩れる音


 

「なに、もしかして」



愉しげに目を丸くするジュノン



「なんだよ」



「ひょん好きなの?」



「え?」



「あの女の人のこと好きなの?」

 


す、き?


 

「わかんな「好きなんだよ!全くひょんったら!」



末っ子がきゃーきゃー騒ぐ


から





ほら、笑われた



天使が僕に向かって会釈をする


突然のことに驚きながら会釈を返す


 
それに気づいたジュノンも


ぴょんっと跳ねるように会釈

 


「ひょん、チャンス!話しかけてきなよ」


「は?ちょっ」



どんっと押し出されて


不思議そうな表情の君の前に立つ



 
沸騰状態の頭をフル回転させる


視界の端に捉えた花



 
「あ、あのその花はなんて花ですか?」



そう問えば


綺麗な笑みが僕に向けられた



「この花はペンステモンっていうんですよ」



派手な花ではないけど可愛いでしょう?



首を傾げた君に頷きかえす



まるで君みたいだ

そう思って


 

ジュノン



これが恋で



これが『すき』みたいだ



 

「確か花言葉は」



貴方に見とれています
(僕の心そのものだ)


 

(ひょーーん!どうだったー?)
(どうもしないよ)
(じゃあさっき花あげてたのは)
(ばっちり見てんじゃん)
(ま、まあね)
(あげただけだよ)
(ちぇ、つまんないの)



しっかり連絡先交換したけどね



 
      -おわり-
 
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