喫茶
□バイト始めました
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1人で夕暮れ時に下校をして、
ふと看板に目をやれば、
その店は開店します。
放課後せくしー
『こんな店…あった…かなぁ?』
昨日までなかった場所にいきなり綺麗な喫茶店がオープンしていたら。
大抵の人は、名前のようにまず疑うであろう。
ましてや、名前のようにぼっち状態であれば、
更に不安さえも込み上げてくるものだ。
『…まだ3時くらいだよね。』
部活をサボる中学生の下校時間は、その日の授業が短縮であればこれくらいだろう。
まだ日がさしているので、名前は、
喫茶店に入ってみることにした。
少しきしむ木製のドアを押し、中を覗いてみれば香るコーヒーの匂い。
『いい香りー…飲めないけど』
学校帰りなんて関係ない。
カランカラン、と心地よい鈴の音を鳴らせ、
ドアを開けた。
すると――、
「あ、ごめん、まだ清掃中なんだよね」
明るい色の髪の毛を少し揺らしながら、アヒル口の人がわたしにそう伝えた。