喫茶

□いらっしゃいませ
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下校時にはバイト先に寄り、エプロンを腰に巻いて。

とびっきり引き攣っちゃいそうな笑顔で、

いらっしゃいませ







「貼り付けたような笑顔はやめろw」


『だってナルシマ先輩みたいな笑顔とか出来ないっすよ!』


「いや、あそこまでの笑顔は求めてねぇから」


なぁに?2人で俺の話ー?


は!?キモっ


『風磨くん!それは言っちゃいけません!』


「あ…2人で俺の悪口ね…」




無理矢理ここでバイトさせられるはめになった名前だったが、名前なりに
このバイト生活を楽しんでいた。

どうやらオーナーらしい中島は「来れるときで良いからね〜」と名前に
伝えたが名前はこの場の空気を結構気に入ったため、ほぼ毎日バイトに来ている。


よくよく考えれば、受験勉強とバイトの両立は確かに大変だ。

でも、(普通に考えると少ないが金欠の中学生には十分な)給料だって出るし、
(それぞれ見方はあるかもしれないが)なかなかの美男がいるバイトなんて
楽しくて仕方がない、と名前は感じていた。



ちなみに聡くんマリちゃん勝利くん(名前の呼び方)はいつも名前の少し後に来る。



「まぁ…そんな落ち込むなよ」

『そうですよ…ね、マスター?』


「…名前ちゃんが俺のことマスターって呼んでくれたから
立ち直るけどさ。…風磨、お前の発言に問題があったんだかんねー。」



いい年してなんつー子供みたいな…

名前が溜息をついたそのとき。



カランカラン



ドアのベル(マリウスお手製)が店内に響いた。


「ん?3人が帰って来たか?」


『まだ早くないですか?』


「お客さんかもよ?名前ちゃん、見てきてほしいんだけど。いーい?」


『はーい』






いちおう営業用スマイル(貼り付け笑顔)でドアの方に行くと、





「店内めっちゃオシャレじゃね?」


「あれ?女の子働いてるって言ってたっけ?」


「え、良いじゃん可愛いじゃん」


「風磨と健人はー?」





こっちが申し訳ないくらいの、
素敵なお兄さん達が立っていた。






『へ…いらっしゃいま…せ、ですよね?』


「超かわいーんだけどー!俺森本慎太郎っつーんだけd」

「はいはいナンパはやめよーなー。」

「とか言って自分もメアド書いたメモ渡そうとするのは良くないと思うよ、樹」

「大我怖いんだけど〜」



「名前、誰だった…ってあれ?お前ら来たの?」

「うちの子ナンパするのやめてもらって良い?(笑)」



















___

「大我怖いんだけど〜」は北斗です。笑


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