夢
□困った心
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ヒソカ、キミのウソが好きだった。
好きだよって笑ってくれた。 可愛いねってからかわれた。 愛してるって囁いてくれた。
キミの優しいウソが好きだった。
本心じゃないこと、わかってる。
キミが優しいのはセックスの時だけ。
所詮私はセフレというやつ。
“今夜会いたい◇”
“いいよ”
キミ専用のメールボックスには、このやりと りばかりが保管されている。
キミの気が向いた時に呼ばれて、キミの思う ままに抱かれる。虚しい、でも愛しい。
事が終われば「もう帰っていいよ」。
離れた くなくて「一緒に朝まで寝て帰ろうよ」なんて言ったこともある。
困ったように笑いながら「仕方ないな」なん て言いながら頭を撫でてくれたキミだけど、 朝になると隣が寒い。
いつ頃出ていったんだろう。
コーヒーを飲んだであろうマグカップは酷く 冷たくて、まるでキミのよう。
携帯が震える。
キミ専用のボックスに未読一件。
“今から会わない?”
駄目だ。行ったら傷つくだけ。
そう分かって いる。とうの昔に気づいている。
しかし私はいつものように返すのだ。
“いいよ”