リボーン書き場

□ロスト
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・綱吉が性格悪いです。
・多分獄→綱→誰か






わかっていたことだけどそれは結構辛い。辛いという字はあと一本で幸せになれそうな字だ、なんて誰かが言ってた。そしてそれが一番の不幸なんじゃないかと思う。

あと一本。

あと一歩で幸せになれるのに。
幸せになりたいのに。

ぐっ、と伸びをする。振り向いて笑って見せた。

「十代目!!こんなところにいらっしゃったんですか!!」
「獄寺君」

どうしたのそんなに慌てて、なんて優しく見えるように自分のできる一番綺麗な笑顔を向ける。変かな。あまり自分の顔は好きじゃない。汚いとまでは思わなくても、綺麗なものだとは思えないから。ふと、向けられる視線が気になった。真っ赤な顔をした獄寺君が目を見開いてこっちを凝視している。何があったんだこいつ。

「じゅ、十代目....」
「なに?」

綺麗な顔を耳まで染めて、きつく握った手は震えていて、何かとても重大なことを告げるように目の前の彼は言った。

あなたが好きです、と。

ざあっ、抜けるような青空の下、屋上を風が撫でた。手すりを掴む手から力が抜ける。俺は俯いて、わらった。わらってしまった。緊張したその顔を隠すこともなく俺を見つめる彼には見えていないようだけど。だから、

盲目っていうんだよ。

お前のいうあなたがっていうのは十代目な俺でしょう?マフィアだの馬鹿馬鹿しい、人殺しの俺だ。俺が人殺しの息子だからお前と出会った。お前を助けてお前が好きになったのも死ぬ気弾で強くなった俺、本当の俺に皆の期待に応えられる強さなんてないのに皆皆期待してる、人を傷つけるための強さを。でもそれが。それがなかったら。

出会えなかった、人がいた。

「獄寺君」

ごくり、唾を飲む君。不安と緊張それから期待に頬を紅潮させて俺の言葉を待っている。だから、

「うん!俺も大好きだよ、友達だもん!」

かっわいく、笑ってやった。

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