リボーン書き場

□少年誌的展開、来る!
1ページ/1ページ









夜の帳が灰白に溶け、やがて朝を告げる空。
ただ今時刻は朝の五時。

昨夜眠りについたのは、深夜二時……。


「………………結局寝たのは三時間て!!」


そりゃあ眠いよ…!確かに人がレム・ノンレム睡眠を切り替える時間が90分だからその倍数で起きるようにすれば目覚めやすくもなるよ?
でも私、最低八時間は寝たい人なんだよなあ…。ちょー寝たい。眠い。
けど、やることもあるしな…。

自身を叱咤し、根性で布団から這い上がる。パジャマがわりに着ていたTシャツ短パンを脱ぎ捨て、ちょっと考えてから黒のジャージを身に付けた。
着る際、ブラをつけないことに言い知れない罪悪感というか不安を感じて、ああ、男になったんだなーと不思議な感慨が浮かんできました(作文)。
どこの部屋で寝ているかもわからない奈々さんを起こさないように、慎重に階段を降りる。
ついでに洗面所で顔を洗い髪をすいて、スニーカーを履いて外に出た。





「うわーーー……」




感嘆の声が、漏れる。
昨日は暗くて見えなかったけど、今まで散々紙面で見てきた、“並盛町”がそこにあった。
その場でトントン、と爪先を鳴らし。取り敢えず、昨日通った公園目指して走り出す。
そしてこれが朝早く起きた目的、というか理由である。

先ず何より、地理を把握すること。
その次に体を鍛えること。

地理は最低でも学校と家の場所で迷わないようにしなければならないし、昨日のバスケでこの体が本当に低スペックなことがわかったので、戦闘とかはともかく学校の体育で困らないようにしたいと思う。
あとやってみたかったからかな。こう、早朝の走り込みとか。いいよね修行っぽい。

そうこうする間に昨日の公園に着く。ここで獄寺が悩んだり、後半辺りで戦ったりもしてたなぁとか感慨深いのだけれど。

「……………っはぁ、はっ…!」

………つら、辛い…!家から五百メートルとちょっとくらいしか走ってないのに、全身がまるで鉛のように重い…!
五百メートルって小学校の校庭二週半くらいだろ?信じらんねぇ…。
もう半袖の時期だけど早朝はまだそこそこ肌寒い。それで長袖のジャージを着てきたのだけど汗だらっだら。ジャージで良かったほんとに…。
あと寝不足も地味にキテる。若いからいけるかなって…思ったんですけど…。肉体ゆとってるわー。本当ゆとりだわー。私もだけど…。
す、好きでゆとってるんじゃないやい!大人はいつも勝手なんだ!
ふらふらになりながら水のみ場に近づく。蛇口を捻ると水が出た、そんな当たり前のような小さな出来事に私はいつも生かされている。
餓えた獣のごとく頭から水を浴びる勢いで水を飲む。ゴクゴクと喉を鳴らして…水!飲まずにはいられないッ!

ふは、復活したわー…。

公園の時計を見る。時刻は朝五時半、もうすでに満身創痍な気もするけど、朝はまだ始まったばかりだ。そう、



行かなくては………『学校』に……!!












三十分後、学校到着。

「い、いやー…本当長かったわー…まさかあそこでクワガタにチョップしたらタイムスリップするとは思わなかったわーマジヤバイわ並盛」

額に浮いた汗を拭う。公園からずっと走ってきたので、正直今は立っているのもやっとだ。心なしか視界が点滅している。暑い…。脱いだ上着が…邪魔なんだよとーま…。
校門は当然ながらまだ閉まっているので、裏口に回る。大体学校ってプールの近く辺りにもう一ヶ所柵と云うか門があって、そして大概正門より低かったりするんだよね。
…………おお、発見。しかも周囲は木々で囲まれて人目につきにくい、と。いいねいいねェ、最ッ高だねェ!よっしゃ乗り越えよ!
それにしてもあんなに迷うなんて………。おかげで大分近辺の地理は頭に入ったけどさ。見つけた立て看板に“黒耀”って書いてあったのを見た時には、本気で二度と家には帰れないと思ったよ…。
っと、侵入完了、人目もなし。
まあ、ようやくたどり着いたんだし!まだ時間もあるから、学校の中を探索して来よ殺気!?




咄嗟のことだった。身を屈めて頭上の一撃をかわす、乗り越えた柵を背にした私から見て右側前方から来た攻撃は一度でおしまいなはずもなく、二度、三度と降り下ろされる。
今度はかわせない。
足下の石をつかみ下りてくる金属の棒にそって腕を伸ばす。
ガツンと不自然な音がして、相手のトンファーが私の肩を、石を掴んだ私の拳が相手の指を打ち付ける。

痛い。左肩が熱い。

けど、だけど“死ぬほど”ではないね!
相手は片方のトンファーを振り上げようとして落とした。さっき打ち付けたのは右手の親指の付け根、なかなか持ちづらいでしょう?
二歩で詰められる間合いから、相手は真っ直ぐ突っ込んでくる。
速い。きっと小細工なんて要らないほどに圧倒的に、彼は相手を倒して来たんだろう。
そんな動きをしているなと思った。
だけど私は弱いから、この体じゃたとえ万全の体調でもそこらの文化部女子と変わらない身体能力なんだろうけど、
それでも私は弱いから――――それはつまり、あいつに会うまでの私と変わらない体だってことで。

弱いなら弱い人なりに、やりようってもんがあ・る・ん・だ、よっ!!

棒立ちの私に横殴りの一閃、だけどこれなら避けられる。
右手を潰せば右から攻撃が来るから、それを避ければ左から追撃、脚が来る。
別に食らってもいい。これぐらいで死なないんだから。だから速くも遅くもなく相手のリズムに合わせて体を流して、それから裏拍で握りこんでいた石を顔面に投げつける。
顔に物が飛んできたら避けざるを得ない、態勢を崩せないまでも隙をついて溝尾に肘を、と屈めたところで二度めの蹴り。
その蹴りを待ってた!
脱いでから今まで左手に持ってた上着を足下に投げつける。転ぶなんて思ってない、ただ態勢さえ崩して身長差埋められりゃあなぁ!!

「っらぁ!!!!」
「………っ!!!」


そのお綺麗な鼻先目指してヘッドバットォォ!!!!鼻ァ頭突き喰らえやまず立てねぇ、ついでに折れちまいなァ!!
ぽたり、視界の下の方に赤が滴る。
ついでトンファーの反撃が来る――――なんて、そうは問屋が下ろさない。
この態勢に持ち込めば、後は私の独壇場。頭を押さえフロントチョークスリーパー。肩の筋肉は首から繋がっている。押さえつけられればその動きは随分制限されるだろう。
それにこの態勢でいくら暴れたって、暴れれば暴れるほど酸素がなくなって落ちるのが早くなるだけだし――――って、もう落ちてる。

「あの…生きてますかー」
「…………………………」

よし、生きてる。
腕の中の彼――雲雀恭也をの脈を確認し、どうにか近くの木の根本まで引き摺っていってもたれかけさせた。
間近で見ると…てか、現実には初めて見たけど、この人本当に綺麗な顔してるなぁ…良くできたお人形みたい。
今は鼻血、だらっだらだけど…。
や、やべー…。

「ふ、はぁ…っは、はひ…!!」

かわいぃぃいよぉぉぉぉお雲雀さん鼻血かわいぃよぉお思わず悶えて変な声が出るよ雲雀さんかわいいよ雲雀さん!!
その時私の頭から、どうして雲雀恭也がここに居たのか、今はどういう状況にいるのか――そんなことはすべて抜け落ちていた。
ただ、頭に浮かぶのは。

なんで…、なんでだよ!!
なんで私はカメラを持っていないんだ畜生!!雲雀さんがっ!!雲雀さんが鼻血出して気絶!!してるのになんで?ねえ!なんで!?

という怒り!ただひとつだった。
それくらい、精緻な顔面を血で汚しぐったりとされるがままの雲雀さんは愛しかった。

「…………」

身動ぎひとつしない雲雀さん。ごくり、生唾を飲み込み、私はゆっくりとその手を………

「委員長、どこに行かれましたかーー!?」


うわ超やべ

その声が聞こえた瞬間すぐさま手を引っ込め、落ちていた上着をひっつかんで走り出した。
塀を乗り越える途中で後ろから「待て!お前は…?って委員長!?」なんて声が聞こえたけど振り替えったら死ぬと自分に言い聞かせ必死に走り逃げました。





気付いてるか、これでまだ朝の七時なんだぜ…?








.
バトル描写は割りと適当です…!すみません!深く考えず、感じて下さい!!

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ