桜の部屋の本棚
□ストーカー(続編)
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あの、ストーカー事件から、小狼と別れて、自宅へと帰り、数日・・・徐々に桜の体に異変が起こり始めていた。
「ほな、電気消すで〜」
「うん、おやすみ、ケロちゃん!」
ケルベロスは部屋の電気を消し、桜の机の一番下の引き出しへ行き、眠りについた。
ゴロン・・・ゴロゴロ・・・
「はう・・・今日も眠れない・・また、今日も胸がなんだかざわざわして・・・」
桜はここ数日毎日の様に、なかなか寝付けない日が続き、今夜も眠れず、ようやく眠りについてもすぐに目を覚ましてしまう・・・そんな毎日を過ごしていた。
今朝も、3時間も寝ていないだろう、すっきりしない目覚めで朝を迎え、思い身体と頭を起こし、中学の制服に着替え、1階のキッチンへとむかった。
キッチンへ向かうと、朝ごはんの用意の真っ最中であろう、父親の姿がキッチンに立っていた。
「おはよー、お父さん」
「おはよう、桜さん。今日も早いですね」
「あ、うん。何か早く目が覚めちゃって・・・」
心配かけないよう笑顔を父にむけ、テーブルに座る桜。
父は、心配してキッチンから、テーブルに座る桜の側へ行き、顔色を見る。
「大丈夫ですか?・・・ここ最近、元気ないですし、今日も顔色が良くありませんが・・・」
「だ、大丈夫だよ、お父さん。ここ最近テスト勉強してつい寝るのが遅くなちゃって・・・。本当、大丈夫だから!」
ガッツポーズをして、元気をふる桜。
「おはよう」
桃矢がリビングに入ってきた。
「お、なんだ桜。今日も早起きだな。こんなに毎日早起きが続くなんて、そのうち槍でも降ってくるんじゃねーか?」
ニヤニヤと、相変わらず桜をからかう桃矢。
「それ、どうゆう意味よ!?」
朝食を終えて、桜はカバンを持って玄関へと向かった。
すると、ちょうどタイミングよく
ピンポ〜ン!♪
「ほえ?誰だろう、こんな朝早く・・・」
ガチャっとドアを開けるとその先には・・
「しゃ、小狼君?!」
「おはよう」
桜が驚くだろうと予想していた為、それがあたり、思わず苦笑いしながら挨拶をする小狼。
「お、おはよう・・・」
取り敢えず、挨拶を返す桜。
すると、父が顔を出してきた。
「どなただったんですか?あれ?え〜っとたしか・・・」
父が、玄関で小狼の顔を見て、名前を頭の記憶の中から必死に探し、
「えっと、李・・・小狼君?でしたっけ?」
「はい、お早うございます」
丁寧に小狼は桜の父にお辞儀をしてあいさつをする。
「お早うございます」
父も、その挨拶を同じように丁寧に返した。
桜の父と小狼が深々と挨拶を交わしているその後ろから、桃矢も玄関に顔を出した。
「よう、やっと来たか。今日も桜のこと頼んだぞ」
何かあったらただじゃおかねーぞ的な目で、小狼に言葉をかけると、
わかっている、とでも返すように
「あぁ」
と、返事を返した。
「じゃ、いってきまーす!」
元気良く手を振って家を後にする桜と、その後をついて歩く小狼。
父が、桃矢に聞く。
「桜さん、どうかしたんですか?」
「・・・」
桃矢は父に、桜がストーカーにあったことを話した。
数日前、事件のあった日の小狼の家から桜が帰宅している間に、小狼は桜の自宅に電話をかけ、詳細を桃矢に話をしていた為、詳しい事情を知っていた桃矢は詳しく父に正直に話をしていた。
話を聞いて、かなり驚いていたが、
「そう、だったのですか・・・。桜さん、心配かけないように、ずっと一人で・・・。でも、あの子(小狼)がいれば大丈夫ですね」
と、父は二人が学校に向かう背中を優しい目で見送った。
「あぁ・・・」
桃矢は一つため息をつき、まt桃矢も二人の背中を見送った。
しかし、その目は、まだ心配している目で見ていた。
ふたりは登校中。。。。。
小狼は、何となく元気のない桜が心配で、名前を呼ぶ。
「桜、だいじょうぶか・・・?元気がないみたいだが・・・」
「だ、大丈夫だよ!」
桜は両手を顔の前でヒラヒラと振って、笑顔を小狼に向けたが、感のいい小狼には、無理矢理笑顔を振りむいている、何か無理をしているのではないか・・・桜の顔を見て思った。
2人は、学校の下駄箱につくと、
「おはようございます」
知世が声をかけてきた。
「「おはよう」」
桜と小狼は挨拶を返し、上履きにはきかえる3人。
ビリリッ
「!」
上履きをはきかえ、靴を下駄箱へ入れようとしゃがんだ瞬間に、体に電気が走るような痺れがはしった。
まただ・・・
そんなことを心の中で桜はその痺れを感じていると、
「どうか、なさいました?桜ちゃん・・・?」
「桜・・・?」
小狼と知世は心配そうに桜をみる。
「あ、ううん。何でもないの!さ、早く教室いかないと、チャイムなっちゃうよ!」
桜は笑顔を二人に見せ、靴をそそくさと下駄箱へしまい、ササっと早足で教室へ向かった。
授業中にボーっとする頭で考えていた。
[ここ何日か、電気が走るみたいにくるあの痺れ・・・ここまれに起こるこの痺れ・・・何んでだんだろう・・・]
ぼーっとそんなことを考えて、
そして、そんな日常を2、3日また過ごしていたが、やはり体の異変はなおらない。
[もうずっと、こんな調子・・・まだ、痺れが治まらない・・・むしろなんだかだんだん回数が増えて酷くなってきてる・・・それに、胸の辺りが時々痛くなる・・・特に、あのときのことを考えてたりすると・・・]
そう、やはり、毎晩夜は眠れることなく、ベットの中でゴロゴロと、まれに動いてはただ横になっているだけで、眠ることができなくなっていた。
更に、ズキズキときたり、時には胸を抑えてないといけないくらい胸のあたりに痛みがくること・・・桜はずっと一人で誰にも言わずに悩み・・・そんな毎晩を迎えていた。
そして、眠れないまま朝を迎えるそんな日々を繰り返してきた、桜。
今日も同じように朝を迎え、玄関で靴を履き、学校へ行く支度をしていると、
「桜」
桃矢が玄関に来て、茶色い封筒を桜に手渡した。
「ほえ?何?これ・・・?」
「あとで、見ればわかる」
「?」
ピンポーン!♪
「あ、小狼君だ!」
荘、ここ毎日小狼は桜を必ず送り迎えをしていた。
「おはよう、小狼君!」
ガチャっとドアを開け、同時に大きな声で笑顔を向けて挨拶をする桜。
「おはよう」
小狼も挨拶を桜に返た。
[やっぱり・・・何か、また顔色悪くなってる・・・]
眠れない日が続きさすがに辛いのか、会話もなくぼーっと歩いてる桜が心配で優しく声をかけた。
「桜、だいじょうぶか?
「ほえ?大丈夫だよ」
笑顔で返す本人は気づいていないようだが、桜の笑顔は誰もがわかるほど元気がない。
ケルベロスも知世も兄も父も、そして誰よりも心配してずっと桜のそばから放れない小狼。
みんな、桜のことを心配していた。