小説

□桜咲く
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「まだかぁ〜」

桜はまだつぼみで、花は咲いていない。

「もう開花予想日過ぎてるのに」

キラは毎日桜の木を見にきていた。まだか、まだかとーー。

“桜が咲いたからってアスランが会いにきてくれるとは限らないのにね…”


そう心の中でつぶやいて、溜め息をついた。

約束したと言っても、10年前の話だ。アスランが覚えているかもわからないし、覚えていたとしても来てくれるかわからない。


「もう、一人でこの桜見るのは嫌だよ…」

キラは桜の木を見上げながら言った。


ーー早く咲いてほしい…

でも、もし桜が咲いてもアスランが会いに来なかったら…。

そう思うと胸が締め付けられる思いだ。

ーー咲かないでほしい…


怖いからーー

桜が咲いてもキミが来なかったらーー


僕の希望の光が消えてしまう…


キミとの約束がキミに会える唯一の希望だからーー。
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