小説
□桜咲く
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ーー春は出会いの季節
ーーそして別れの季節でもある
僕らにとっては別れの季節だったね
ーーアスラン…
【桜咲く】
「泣かないで、キラ」
「…だって、お別れしたくないもん…」
キラは泣きながら言った。そんなキラをアスランは宥めるのが大変だった。
「じゃあキラ、約束」
「約束…?」
キラは首を傾げて言った。
「あぁ、10年後ここで会おう。桜が咲いたらーー俺はキラに会いにここに来るから」
「ここで?」
「うん、ここで。この桜の木の下で」
「うん!」
桜の花びらが舞い散る中、交わした約束。
ーーあれは僕らが8才の時。
アスランが親の都合で引っ越しをしなければならなくなって、さよならをした日。
さよならをしたくなくて、泣きじゃくる僕にアスランは約束をしようと言ってくれた。
“あんな昔の約束なんて覚えてるかな”
あれから、10年がたった。
ーーもうすぐ約束の日。
桜が咲いたらーー
ーーもうすぐ桜が咲くよ、アスラン…