小説3
□メビウスの輪《後編》
1ページ/22ページ
「キミのほうだよ、アスラン――」
キラは自分の口から出た言葉にハッとした。
なんで『アスランが僕を置いていった』なんていう意味合いの言葉が出たのか、自分でもわからなかった。
アスランは僕を置いて、どこかに行ったなんてこと一度もない。
だけど――口から出た言葉は、自然だった。不自然さは微塵も感じなかった。
だから自分でもわからないが、この言葉は真実のように感じられた。
アスランが僕を置いて行った――?
いつ?どこで?
わからない……。
でもアスランが離れていくのは嫌だと思った。
僕を置いていかないで――…。
キラは言い知れぬ不安に苛まれながら、そう強く思った。
僕はこのままラクスと留学して、アスランの傍を離れてしまって、本当にいいのだろうか――。