“君”シリーズ
□君がいいんだ
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僕らは愛し合っていた。
僕はアスランがいてくれればそれでよかった。他に何もいらなかった。
アスランも僕だけでいいと言ってくれていた。
だけど僕には親が決めた婚約者がいた。
僕はヤマトグループ社長の一人息子だった。将来会社を継ぐことが、生まれた時から決まっていた。
そのために、父が選んだ婚約者。ヤマトグループ次期社長に見合う婚約者ラクスが。
彼女には申し訳ないが、僕が好きなのはアスランだった。だから彼女と結婚するつもりはないと、婚約を解消してほしいと父に頼んだ。
しかし、父はそれを許してはくれなかった。
『父さんは僕達のこと、許してくれなかったよ……』
『そうか…』
『アスラン、僕と駆け落ちしよう』
『え…でも、それは……』
アスランは最初戸惑っていた。