小説3
□家族〜亀裂〜
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「行ってらっしゃい」
母さんは笑顔で見送った。
「父さん、最近忙しいみたいだね」
父さんの分の朝食を片付けている母さんに、シンは言った。
「うん…そうだな」
「ねぇ、母さん大丈夫?最近、顔色あまりよくないみたいだけど…」
シンは母さんが心配だった。
母さんは子供の頃から身体が弱く、海外で手術を受けたこともある。
シンは自分を産んだせいで、余計に悪くなったのではないかと思っている。
「大丈夫だよ。ただちょっと貧血なだけだよ」
「でも…念のため病院に行ったほうが…」
「そんなに心配しなくても大丈夫だって。シンは心配性だな。ほら、早く食べないと遅刻するぞ」
「……うん」
母さんはこう見えて、結構頑固だ。
シンがいくら言っても聞かない。