小説3
□未完成な僕ら
2ページ/18ページ
名家の令嬢であるアスランには、生まれた時から許嫁がいた。
名前はニコルといって、歳はアスランより3歳年上だ。ピアノがとても上手で、優しくてアスランは彼を兄のように慕っている。アスランだけでなく、僕自身もニコルを兄のように思っている。
ニコルはアスランだけでなく、僕にも優しい。子供の頃から母親同士が知り合いで、年も同じだったこともあり、僕はアスランの家によく遊びに行っていた。ニコルも許嫁ということで、アスランの家にアスランに会いによく来ていた。
だから自然と三人でいることが多かった。今考えると僕は邪魔者だったのかもしれないが、ニコルは嫌な顔ひとつせず、僕とも遊んでくれた。僕はニコルが大好きだったし、三人でいる時間はとても楽しかった。
でも僕は知ってしまった。
『僕、大きくなったらアスランと結婚する!』