Ace of Diamond

□4.
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【2つの1軍枠】


1軍枠残り2人が決まる最後の試合


青道2軍vs黒土館


それぞれみんなの練習や頑張りを見てきたから

本当はみんなあがってほしいけど…




今日の最初の投手は栄純くん!

結局クリス先輩に持ち味を教えてもらい

ここ最近シャドーピッチングをひたすら頑張ってたし

自分なりに手応えも掴んだみたい

今日の試合はなかなか期待できるかもしれない

ただひとつ気になるのが、最近ボール触ってたかな?

試合は本物のボールで投げるから

タオルがカタにつきすぎても困る所だけど…


もうひとりの期待は春市くん!

守備は亮介さんにひけをとらないくらい

打撃もすばらしいバットコントロールを見せている

1軍に一番近いのは春市くんかな?

そして気になるのがクリス先輩…

肩はだいぶよくなったと思ってたけど

今日の捕手は2年の小野先輩

栄純くんはクリス先輩とのバッテリーを望んでるみたいだった

でも1年もブランクのある選手を試合に出すほど青道は甘くない…ということだろうか

でも、もしかしたら途中交代で出てくる可能性もあるはず!


私はこの試合を一番いい場所で見せてもらえることになった

1軍にあげる者をお前なりにも考えてくれという鉄心さんの提案で

鉄心さんの隣でスコア係をすることに

2軍のみんなの最後の試合だからしっかり見届けよう!

みんな気合十分に礼をして

プレイボールの声が上がった





久々にボールを握り、高揚した様子の栄純くん


第1球は



ガシャァァン!!



何、今のフォーム…

栄純くんの握っていたボールは手を放れそのまま

小野先輩のミットにかすることなくフェンスへと直撃した

結果、1人目のバッターはフォアボールで1塁まで歩かせてしまった


「あの子いつの間にあんな投げ方を…」

『あんな窮屈なフォームでボールを投げられるなんて…
なんて柔軟な肩…』

「・・・・・」

『クリス先輩があの投げ方を?』

「いや、オレでは…」

『じゃぁ監督が…?』

「俺はカベとタメを作ることが重要だと言っただけだ」

『そのヒントからこんな…すごい…』


栄純くんはスゴイ武器を手に入れようとしている

まさかここまでだとは思わなかったけど、コレなら…

けど今の試合、コントロールがまったく定まっていない

ストライクが入らないことには話にならない

いつ何点入れられてもおかしくない…

いつ交代させられても…


「どうします監督…確かにボールの球威は抜群に上がっています、ただ…」


礼ちゃんはそれでも収穫は十分にあったからマウンドをおろしても、と…


『ちょっと待って下さ…
「ア、アイツは自分で考え…この試合で何かを掴もうといてします…
もう少しだけ投げさせてやってください!」

『クリス先輩…』



「・・・・・化けるやつは一瞬で化ける!」



鉄心さんはずっとタイヤを引き続けた栄純くんの継続力と前を見続けた強い心・頑張りを見ていたんだ…



「…クリス、この1ヶ月アイツの球を受けてきたのはお前だ

アイツの持ち味を活かしてやることができるか?」

『…!!』

「クリス…アイツはマウンドでお前を待っているぞ!」

「・・・・・!!」

『…沢村くん待ってます!
クリス先輩からもらったものを返せるように今も頑張ってます!

その先の扉を開けようとしています…
それにはきっとクリス先輩の力が必要なんです!』

「・・翼・・・」


「何やってんだ早くレガース着けろよ」

「お前はチャンスをもらえたんだぞ」

「お前だってこのチームの一員だろ!」

「胸張って出てくればいーんだよ!!」


「お、お前ら・・・」

「さっさと用意をしろ、クリス」

「監督・・・はい!」


そうして鉄心さんは選手交代を言い渡しに行った

私は準備をし終えたクリス先輩のもとへ行った


『クリス先輩…』

「?どうした?翼」


私はクリス先輩の左手のミットをギュッと握って伝えた


『無理だけは…しないで
体のことを考えてプレーしてください…
もしだめだと思ったら・・・・
「翼」

ポンッ

「心配するな翼・・・オレはやってやる」


クリス先輩は私の頭に手を置きながらこたえてくれた

なんて…安心できるんだろう…


『はい…頑張ってきてください!!』

「あぁ、いってくる」


こうしてクリス先輩はマウンドへと向かった



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