Ace of Diamond

□4.
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3回表、栄純くんの最後のイニング

黒土館の打者達は徹底的にバントの構えを見せている

そして見事に栄純くんは振り回されてる…

ホントに素直だなぁ・・・・

とりあえずキャッチャーフライで1アウトとった…

が、それから少しクリス先輩が乱れ始めた


盗塁の送球が2塁まで届かなかったり

フィルダースチョイスをしてしまったり…

バントの構えで揺さぶられていたのはクリス先輩の肩だった


1アウト1・3塁

次のバッターは、財前直行

黒土館にはこの人がいた

もう…大丈夫なのかな?

中学のころ一也と試合を見に行って初めて財前さんを見た

スゴイ選手だったけど、1年前に病院に行ったら偶然財前さんと会った

話を聞くと去年の夏の予選で左ヒザ靭帯を断裂したらしい

みんなには知られてないみたいだけど

もう完治したのかな…?

でも代打っていうことは…


ワァァァ!!



『あ!どうしたんですか…?!』

「財前君の初級スクイズを沢村君がワンバンを投げてホームに向かってきていたランナーがアウトになったわ…
あの時の東君のようにね」

『栄純くん…』

「翼が試合を見逃すなんてめずらしいわね?考えごと?」

『財前さん…もう治ったのかなって思って…』

「え・・・・?」


ガキィ!

財前サンは何球もファールでねばっている

そして栄純くんは…

足を高く上げる旧式のフォーム…

カベを作り…

足をホームに一直線にして、投げた!!




ドパァァァン!!




ストライクバッターアウト

黒土館を3イニング0点におさえた

栄純くんの成績は何度もピンチがあったけれど

3イニング被安打0の無失点

鉄心さんはどう評価するかな・・・・・


そして試合の結果は5−8で青道が勝ちをおさめた









「財前ヒザは大丈夫か?」

「はっ俺をナメんなよ?お前こそ…」

「なに、心配するな」

黒土館が帰っていく前に財前を見つけて話をしていた

するとグラウンドの方から翼が走ってくるのが見えた


『クリス先輩!お疲れ様です
肩大丈夫なんですか?!
無理はしないでって言ったのに…
どうして…』

「落ち着け翼…俺は大丈夫だ…」

まだ少し納得していない様子の翼はしぶしぶ頷いて財前の方に振り返った

『お疲れ様です…こんにちは財前さん…
実は1年前に病院であった事あるんですけど覚えてますか…?』

「1年前、病院で・・・・・
もしかして、あの髪の長かったのが…?」

『きっとそれ私です!私矢野翼って言います!
あのとき突然話しかけちゃってすみませんでした…
あの、ヒザは…』

「いや、別にいい…ヒザはその…
俺は心配されんの慣れてねぇんだっ」

『?』

「とりあえずは開会式の神宮でまた会おうぜ…」

『?…はい』

「球場で会おうということは選手として復活するということだよな?」

『!なるほど!楽しみにしています!
私は邪魔しちゃ悪いのでこれで失礼します!
お気をつけて…』


そういいながら財前の怪我に不安そうだった翼の顔は笑顔に戻り

グラウンドの方へ駆け出していった


「アイツは…」

「敵である他校の俺の心配もなんて変わった奴だな…」

「あぁ、本当に変わった奴だよ…」

「矢野…翼か…
さて俺は帰るとするか、じゃぁな」

「あぁ」


翼は本当にすごいな…どうしてここまで

財前も少し気になっているようだし

翼はどれだけ顔がひろいんだろうな

などと考えながら俺もグラウンドの方へ向かった



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