Ace of Diamond

□4.
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一軍枠は2つ


3年間頑張ってきた先輩たち

そんな先輩に負けないくらい追いかけてきた2年の先輩

即戦力になり、頼れる代打にもなりうる春市くん

可能性を秘めたまだ未知数の貴重な左腕投手栄純くん

そして…

クリス先輩


鉄心さんはきっと、

きっと…




これから1軍発表をするんだろうな

先輩たちの、みんなの顔が見れない


少しの間だけどみんなを見てきて

努力してきている姿を見て



できるなら全員あがってほしい


3年生にとってここでレギュラーになれないということは

実質

夏が終わることになる


まだ早すぎる


でもそれを承知で先輩たちは練習してきたんだ…

見届けなきゃ…



「翼、行くぞ」


渋った顔をしていた私に

一也は声を掛けてくれた

よし、行こう…









―雨天練習場―



集まったみんなは緊張してる


鉄心さんが入ってきて

みんなの鼓動が聞こえそうな気がした


そして、


「一軍昇格メンバーは

一年 小湊春市

同じく一年 沢村栄純

この二人を加えた一軍20名で夏を戦う
明日からの練習に備え今日はこれで解散だ
呼ばれなかった三年だけここに残れ!」




みんなが出ていく中

栄純くんだけがその場を動けずにいた


『(栄純くん…)』


ぐいっ


『!!』


「行くぞ」


腕を引っ張られたと思ったら

一也だった


一也の表情もやっぱり、くもってる


『うん…』



【これからもずっと俺の誇りであってくれ】


!!


鉄心さんの言葉が心に響く…

やだ泣きそうだ

でも私はプレイヤーじゃない

泣いちゃだめ



そう覚悟をして前を見ると

栄純くんが練習場に入っていこうとするしている


『ま、待って栄純くんッ…』



ぎゅっ


服のすそを掴んでも止まる気配はなくて

栄純くんがどうするつもりか分からないけど止めなきゃ!


『お願い!待って…
「出ていってどうする気だ?」


栄純くんは結城先輩の言葉で止まった

「辞退でもするつもりか
誰が何と言おうとお前は監督に認められたんだ
ウチの戦力としてな…
そんなお前が選ばれなかった者に何て声をかける…
俺達にできることはただ一つ…

選ばれなかったあいつらの分まで強くなることだ」


栄純くんの表情はうつむいてて見えない


「これでもうとことん突き進むしかなくなったな
俺も…お前も…」



肩が、震えてる


先輩達が去ったあと

栄純くんにそっとタオルをかぶせた


『今は思いっきり泣いたらいいよ
その気持ちをどうか、
忘れないでいよう…』


栄純くんはうつむいたまま

振り向き、両手を私の肩に乗せ

すがるように声を押し殺して泣いた


つられて一筋の涙が頬に流れたけど

気付かないふりをして

落ち着くまで背中を撫でた



「翼、俺…強くなる」

『……うん』

「もっといっぱい練習して」

『うん』

「もっと強くなる」

『うん 応援してるよ』

「俺もっと頑張る…」



そう言ったキミの姿を

私はきっと忘れない


精一杯支えると、心に決めた



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