Entfernug

□PHASE−2
3ページ/3ページ




「ただいま帰りました〜!」
「おせー。俺の腹と背中がくっ付いたら如何してくれんだ。」
「あはは、直ぐ用意しますね。」
「さっさとしろよ。」
「こんにちは。」
「アスラン!?」



俺がダッドさんに向かって挨拶すると、彼は驚いたように俺を見る。
何で此処にいるんだ、的な目で。



「荷物一緒に運んで下さったんです。そのお礼にお食事に誘ったんですよ。」
「へぇ〜。」



今度は何か含みの在る目で俺を見るダッドさん。



「じゃ、暫しお待ちを。」



そう云って彼女は奥へと消えて行く。



「・・・・・・如何云う心境の変化だ?」
「・・・・・・悪くないなと思って・・・。」
「その心は?」
「温かいですよね、彼女。」



そう云うとダッドさんはまた驚いた顔をする。
随分前向きな考えになったもんだ、と。

自分でも不思議だ。
今まであいつらとか、色々協力して貰ったけど、結局どれも駄目だったのに。
それがこんなにもあっさり・・・。



「そう云や、あの懐中時計直ったぜ、持って帰れ。」
「ああ、有難うございます。」



それからダッドさんと他愛のない話をしていたら、奥から漂って来る鼻を擽る良い匂い。



「お待たせしましたー!」



テーブルの上にはオムライスにポテトサラダ、そしてコンソメスープ。



「ささ、召し上がれ。」
「おお、今日は豪華じゃねぇの。」



アスランがいるからか?とダッドさんはからかう。



「そんな事ないですよ?私は何時でも全力投球ですから。」
「・・・威張って云う事か。」



それを特に照れた風もなく返す彼女。
仲、良いんだな二人。



「アスランさん、お味、如何ですか?」



恐る恐るそう訊ねる彼女。
何か良いな、こう云うのも・・・。



「ああ、美味しいよ。」
「良かった。」



彼女の料理は本当に申し分なくて。
出された料理を全て平らげ、スープはおかわりまでしてしまった。



お腹も満たされ、家路につく俺は、



『また来て下さいね。』



と笑った彼女の笑顔を思い出していた。




前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ