四面楚歌
□第十二話
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「私も皆と同じ、テニスをやっていたの。」
「え・・・、慶が?」
驚いた顔をする零に頷いた。
「・・・・・・でも納得かも。だからドリンクの作り方や、スコアの取り方を知っていて、井上さんとも知り合いだったのね。」
最初は手塚君関連だと思ってたんだけど、っと。
「小学生だったけど、結構騒がれていたから。」
だから私が辞めた後のバッシングも凄かった。
私の荒れた原因の一つに入ってもいいかもしれない。
「決勝戦の日だったわ・・・。」
試合の朝、肩に違和感を感じた。
何時もとは何処となく、何かが違う。
でも当時の私はそのサインに気付きもせず、気にも留めなかった。
違和感は直ぐになくなったから、寝違えでもしたんだろうって。
でも・・・・・・。
「甘かったのね、私は。何処かで過信していたんだと思うわ。私は怪我とは無縁だって。」
試合を始めだしたら、再び感じた違和感。
また直ぐに消えるだろうと、ボールを打ち続けた。
でも今度は違和感は消える事なく、尚且つ痛みに変わって行った。
ラケットを振る度に、鋭くなって行く痛み。
そんな私の異変に一番に気付いたのは国光だった。
国光の制止を無視して続行した試合。
痛みをこらえ、やっと最後の最後と云う時に。
・・・・・・私の肩は上がらなくなっていた。
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