四面楚歌

□第十四話
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「ブン太、如何したの?」
「赤也痛そう・・・。」



次の日、学校に現れた丸井と切原。
何時もと何ら変わりのないように思われたが。
丸井は右頬に青胆。
切原は左頬に大きな絆創膏。



「まさか喧嘩じゃないだろうな。」
「ちっげぇ!・・・くもないけど。」
「でも俺達は無実ッスよ!」



一体何が在ったのか、事の顛末を全て語った。
最初は裏拳の準備をしていた真田も、その手を収めた。



「そう云えば新聞に載っていましたね。最近、金髪の女性が狙われていると。」
「金髪の女の人が?」
「ええ、理由は判りませんが。」
「そう云えばあの男何か云ってましたね。」
「ああ、金庫が如何とか。」
「金庫じゃないっスよ。確か金、金、金・・・。」
「・・・・・・。」



慶の中に過ぎった単語が在った。
金髪、女性。



「それってもしかして、金狼?」
「そう!それっス。」



頭にゴーンと重く鈍く鐘が鳴った気がした。



もしかしてとは思ったけど、まさか本当に・・・。



「それってどの辺?」
「駅近くの・・・ってそんな事聞いて如何するんだ?」
「慶?」



誰かが自分を捜している。
そのせいで何の関係のない人が傷付くのが慶には堪えられなかった。



「駅ね・・・。」
「慶!?」



朝練の途中だとか、これから授業だとか、そんな事関係ない。
慶は皆の制止を振り切って、駅へと走った。



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