大事なもの

□第十二話
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夜錘の予想通り、街中を捜し回る四人。
プラスアルファー三人。
勿論云わずと知れた紅孩児ご一行。



「夜錘〜!!」
「李厘様〜!!」



だが、何処を如何したものか、二人らしき人影は見当たらない。



「何処行きやがった、あの莫迦は!?」



気の短い三蔵は既にキレる寸前。
カルシウム取りましょう、お兄さん。



「二度目ですねぇ、これ。」
「でもまた見つける・・・だろ?」



悟浄がニヤっと口角を上げる。



「ですね。」



それを受けて八戒もまた笑った。



「つか猿、静かだな。」



普段なら一番走り回って捜しているであろう悟空。
然し今は大人しい。
揶揄を含んだ悟浄の言葉にも今は反応せず。



「ん、俺知らないんだと思って・・・。夜錘の行きそうな場所を。」



夜錘について知っているのは名前だけなんだなっと。
逆に素直に答える始末。



「よくよく考えてみればまだ出逢って三日目だったんですね。」



歳も誕生日も。
趣味も好みも。
何も知らないのだ。
知っているのは彼女の顔と簓夜錘と云う名前だけ。

四年前から何やかんやつるんでいる自分達とは違う。
四人は改めて痛感した。



「そう云えば夜錘さんとは一体どなたなのですか?」



八百鼡が不思議そうに訊ねる。



「昨日新しく三蔵法師ご一行に加わった女性です。」
「三蔵一行に新しい仲間だぁ?面倒臭ぇな。」
「そんな情報、伝わっていないが・・・。」
「まぁ昨日からだしなぁ・・・。」



何とも暢気な会話。
とても敵同士には見えない。
どちらかと云えば、近所のおばさんの会話で在る。



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