大事なもの

□第十五話
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渦巻く憎悪を殺意に変える事は容易い。

一度芽生えた憎しみは時と共に薄れはすれど。

決して消える事を知らない。



私達二人は街の端に在る墓地に穴を掘り、異臭を放つその体を埋めた。
太陽はとっくに沈み、風は冷たく吹き荒れる。
それでも点く事のない街の灯。
ただあの宿屋だけが爛々と輝いていた。



「有難うございました。お客様にこのような事を・・・。」



母親が眠る地に手を合わせた後、少女は此方を見ながら云った。



「気にしないで、好きでした事なんだから。」
「でも女性の方だったんですね、私てっきり・・・。」
「それより聞いても良い?この街に何が在ったのか。」



そう云った瞬間、彼女の体が強張った。
それを判っていて尚、話を続ける私。
酷な事をしているのは判ってる。
でも聞かない訳にはいかないしね。



「このあからさまな貧富の差は何?」



若い女だけが、あの宿屋で着飾り。
子供や年寄り、男達は道端で飢え果てる。



「・・・・・・あの男がやって来たのは、ほんの一年前の話です。」



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