大事なもの

□第五話
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他人なんて信じたら殺される。

信じられるのは自分の力だけ。

信じられるのは自分の心だけ。

それが私の考えだった。



・・・・・・助けられたのなんて、初めてかも・・・。

戦い続ける彼らを見つめながら夜錘は思った。

・・・にしても戦い慣れてるわね。
明らかに戦闘慣れしている彼ら、夜錘が疑問に思うのも当然で在る。



「・・・・・・えっと、ジープさん・・・、で良かったですか?」



夜錘は自分が座っている車に向かって声をかける。
傍から見れば可笑しな光景だろう。
だが、彼女の目の前で白い生き物が車に変わったのは事実。



「キュ〜。」
『ジープで良いよ・・・って云っても判らないか・・・。』



やはり車からは先程と同じ声が・・・。

本当に摩訶不思議な世界・・・。
動物(?)の言葉まで判るようになるなんて・・・。
どう聞いてもキューとしか聞こえないのに、頭の中に意味が入り込んで来るみたい・・・。
どうやらこちらに来て、動物の言葉が判るようになったらしい。



「ではジープと彼らは如何云うご関係で?」
『!!??・・・・・・僕の言葉判るの?』
「はい。」



・・・驚いてる・・・よね?
・・・・・・よく在る事じゃないだろうか・・・?

・・・在る訳ない。



『あのね、あの眼鏡の人がね、八戒さんって云って僕のご主人様なの。』
「ああ、それで彼の肩に乗られていたんですね。」



心なしか、ジープの声が弾んでいるようにも聞こえる。



『それで、あの金髪の人が三蔵様。いっつも怒ってて怖いの。あの人には逆らわない方が良いよ。』



ジープは言葉を理解された事が嬉しいのか、どんどん話して行く。

・・・正直、楽だわ・・・。



『で、あの茶髪のが悟空でね、僕と遊んでくれるの。で、あっちの赤いのが、悟浄。女の人が大好きだから気をつけた方が良いよ?』



赤いのって・・・。
随分とあの赤髪の青年だけ扱いが違う気がする。

ジープからすれば悟浄は格下、当然と云えば当然の扱い。

一通り、ジープが説明を終えた後、辺りに妖怪の気配が消え失せた。



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