大事なもの

□第八話
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神も仏も人も信ずるに値するものなのか?

今までなら即否定していただろう。

今までなら・・・。



「・・・如何云う事だ。」



一番先に我に返ったのは三蔵。
他の三人も三蔵の言葉で我を取り戻す。



「だからあの身の上話は嘘で、本当の名前は夜錘って云うの。」



一回の説明で判らない?と夜錘。
其処には今までの椿の姿はなく、新たに夜錘がいた。
四人が困惑するのは頷ける。
寧ろ当然とも云っていいくらいで在る。



「・・・驚いたな、椿ちゃん・・・じゃなかった夜錘ちゃんって結構やり手なのね。」
「そう?」
「でも何故そんな嘘を?」



何故わざわざそんな面倒な事を・・・。
当然の疑問で在る。



「・・・信用してなかった、って云うのが正しいかな?」
「夜錘・・・。」



夜錘がそう云うと悟空は何ともか細い声を出す。



「ごめんね?」



そんな風に云われてしまえば何も云えない。
悟空は何かを云いかけたが、止めてしまった。



「これから話す事、正直云って、常識離れな事なの。」



おとぎ話って云われても過言じゃないくらい、と夜錘は笑う。



「信じられなければそれでも良い。でも・・・、聞いて欲しいの・・・。」



夜錘はゆっくり話し始めた。

知らぬ間に森にいた事。
自分はこの世界の人間ではない事。
此処が自分の知る世界ではない事。

四人は黙って夜錘の話を聞いていた。



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