大事なもの
□第十話
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肌が緊張する感覚。
空気が凍る感覚。
今目の前に在るこの殺気が。
懐かしいとさえ、思えてしまった。
「ね、私にやらせてくれない?」
そうしたら皆目を見開いて。
三蔵は一人眉間に皺を寄せたけど。
何だかだんだん皆の性格が判って来た気がするわ。
「この刀、試してみたいし。」
この刀、と云って私は観世音菩薩から賜った刀を皆に見せる。
「駄目、かな?」
私の実力を知ってもらうにも、良い機会だと思うんだけど。
「これから旅をしていく上で必要でしょ?」
そう云ってにっこり微笑む。
「・・・・・・好きにしろ。」
「良いんですか三蔵?」
「そいつがやるって云ってんだ。やらせりゃ良いだろう。」
「有難う三蔵。」
皆をジープに残し、私は一人蠢く影の方へ歩を進める。
一人で戦う方が慣れている・・・。
「いっちょ殺りますか。」
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