四面楚歌

□第九話
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「あの〜・・・雅治さん?」
「・・・・・・。」



うっわ〜、ものっそい不機嫌でいらっしゃるわ・・・。
否、不機嫌なんてものじゃない。
そのオーラは殺気すら放っている。



「・・・俺、生きた心地しないっスよ・・・。」
「俺も食欲萎えるぜぃ・・・。」
「あれって私のせい、なのよね?」
「当たり前でしょ?慶の事以外で雅治君があんな感情を剥き出しにする筈ないじゃない。」
「・・・ですよねー。」



それは嬉しい事では在るが同時に酷く面倒でも在る。
ぶっちゃけて云うなら雅治がこうなった理由が私には皆目検討がつかない。
以前の誕生日の時とは桁が違う。



「・・・あのさ・・・、一体何に対してそんなに怒っている訳?私、何かした?」
「・・・・・・つーん。」



口でつーんとか云うな!
ギャグをかますなんて案外余裕かとも思うけど。
そんな簡単なほど雅治の性格は真っ直ぐではない。

確かに最近構ってあげられなかった気もしない事ではないんだけど。
だからって殺気を放つまでに至るのだろうか・・・。



「じゃあ俺達は先に練習を始めているぞ。」
「仁王君の事は頼みましたよ、慶さん。」



体よく押し付けて行ったわね・・・。

こんな時だけど、不覚にも嬉しかったりする。
互いに最近バタバタしていて恋人らしい事なんて何もしていない。
(普段からしてる訳でもないけど。)



「・・・・・・手塚。」
「え?」



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