四面楚歌

□第十一話
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「大会前に赤也(あの莫迦)は何考えてんだ!!」



本当にその通り。
今何か問題を起こせば出場停止も免れない時期だと云うのに。



「赤也の目・・・、充血してるそうだ。」
「!」



橘君戦の時に見せた・・・。
一度やった事でリミッターが外れたのか、それとも相手が強いのか。

・・・零に連絡入れとくか。

少なくとも零はあの赤目の赤也君に、・・・恐怖を抱いているように見えた。
それは多分、何の躊躇いもなく、人を傷付けたから。



テニスクラブに辿り着くと、其処には人集り。
皆、慌てたような、如何すればいいか判らないと云う顔をしている。

弦一郎が扉に手をかけた。



「・・・・・・。」



それと同時に中から人が。
赤也君じゃない。
その子はそのまま体の力が抜けたようで、弦一郎が支えなければ倒れ込んでいただろう。
その背にはSEIGAKUの文字。



「オイオイ赤也、こんな時期に何てことを!?」
「それも青学の選手!?」
「可哀相に・・・、至急病院へ連れて行くべきです。」
「柳生・・・、よう見てみんしゃい。」



青学の男の子は・・・。



「カー、スピー、スピー・・・。」



眠っていた。



「お、起きたまえ。」
「この子は・・・。」



見覚えが在る。
この子は国光が見つけた、次の・・・。

青学の柱。



「慶、頼む。」
「あ、うん。」
「さ、真田っ!!」



慌てた顔で走り込んで来たのはジャッカル。



「す、すまねえ・・・。」



ああ、こりゃくるな。

そう思った瞬間、パァァーンと云う子気味のいい音。
ジャッカルはテニスネットのポールにもたれるように座り込んだ。



「ジャッカル・・・、お前が付いて居ながら。」



弦一郎はそのまま赤也君へ近付く。
赤也君は何も云わずに突っ立っていた。



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