四面楚歌
□第十五話
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「はぁ・・・・・・。」
『如何した?さっきから溜息ばかりだぞ。』
「あ、ごめん。ちょっと・・・。」
『何か在ったのか?』
「・・・・・・国光は覚えてる?荒れてる時の私。」
『・・・抜き身の刀のようだったぞ。』
「あっ、そう・・・・・・。」
『忘れるなと云う方が難しいと思うが?』
「だよね・・・・・・。」
そう云われるともう私も何も云い返せないわよ・・・。
抜き身の刀か・・・。
よっぽど鋭かったんだな、私。
『それが如何かしたのか?』
「ううん。ただそう云う時期も在ったから今の私が在るんだなって思って。」
『・・・・・・過去が如何で在ろうと、お前はお前だ。全部ひっくるめて、な。』
「うん・・・。有難う。」
国光は全部知っている。
それでも尚、私を受け入れてくれる。
『もう関わるな。』
雅治は何も知らないから仕方ない。
云っていない私だって悪いし。
でも頭ごなしにあんな事云わなくったって。
『・・・大丈夫か?』
「平気よ。ふとそう思っただけだから気にしないで。」
『・・・・・・。』
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