四面楚歌
□第十七話
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何度も何度も。
同じシーンが、台詞が頭の中でリフレインする。
『いいわ、もう別れましょう。・・・私、貴方が判らなくなった。』
判らない、それは俺の台詞じゃ。
黒狼。
俺でも知っている悪い評判。
そんな危険だと判っているものに、関わろうとするのを止める事の何が悪いのか。
それが自分の彼女なら尚更。
『・・・・・・私貴方なら判ってくれると思ってた。察してくれると思ってた。』
判りたいと思って来た。
察したいと思って来た。
なのに・・・・・・。
『今の貴方、嫌いよ・・・。大嫌い!』
もう見えなくなった慶の背中。
「・・・・・・知らん。」
もう知らん。
あんな身勝手な女。
「今日は帰るぜよ。」
「仁王・・・。」
何じゃ、云いたい放題云いよって。
俺の気持ちも知らんと。
「・・・・・・久々に出たなブラック仁王。」
「こうなると誰も手が出せないからね。」
あの幸村でさえお手上げ。
「今の仁王先輩に近付いたら下手したら死ぬっスよ。」
「慶さんとお付き合いするようになってからはすっかり収まったと思っていたんですが・・・。」
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