四面楚歌

□第十八話
1ページ/6ページ




次の日慶は学校に来なかった。
昨日の今日で顔を合わせ辛くは在る、じゃが・・・。



「心配だね、慶。」
「無断欠席なんて珍しい・・・。」
「俺のデータには今まで無断欠席は0と在る。」
「何か在ったのかな?ね、仁王。」



わざとらしく俺に振りよって・・・。



「・・・知らん。」



そうじゃ知らん。
彼奴が如何なろうが、俺には関係なか。
そう思うのに・・・・・・。
視線はやはり空席のそこへ。



慶・・・・・・。



傍に居るのが何時の間にか当たり前になっていた。
何時も隣にいて、笑って怒って。



『大嫌い!』



思考を払うように頭を振る。
別に今までと同じじゃ。
慶が初めてじゃった訳じゃなか。
ただ今までとは少しだけ付き合う期間が長かっただけ。
また直ぐに忘れる・・・。
来る者拒まず、去る者追わず。
またプレイボーイの異名を取るだけ。
元々一途なタイプじゃない。
飽き性の甲斐性なし。
長く続いたのはテニスくらい。



「この問題は定数を3とし・・・。」



授業は右から左。
頬杖をついて空を見上げた。
雲一つない青空。
屋上から見ればさぞ広い空が拝めるだろう。



・・・・・・見上げた時、隣にいるのは・・・。



「莫迦は俺か。」



隣で微笑むのは慶。



落ち着いてみれば、如何して彼奴があんなに黒狼に拘るか。
その理由を考えた事がなかった。
思えば黒狼の名を聞く度に慶の反応は可笑しかった気がする。



何かあったのか・・・、黒狼と・・・。



次→
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ