四面楚歌

□第十九話
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慶、今日はちゃんと学校に来るかな・・・。

そんな不安を抱えながら、重い足取りで学校に向かう。

昨日何度電話しても繋がらなくて、メールしても返事は来ない。
結局雅治君も帰って来なかったし。

何も判らない状況と云うのは悪い予想を立てやすい。

まさか二人に何か在ったんじゃ・・・!?



「おはよう、零。」
「おはようさん。」
「あ、おはよう。」



あっさり。
意外にあっさり、思いを馳せていた二人は私の目の前にいらっしゃいました。
ほっとすると云うよりはびっくりする。
望んでいた姿が在るのに何となく拍子抜け。



「ごめんね、昨日は連絡出来なくて。」
「ううん、大丈夫だけど・・・。」



あれ?ツーショットだ。
一昨日のあの険悪な空気は嘘のように今穏やかで。



「私達これから先生に説明しに行くから、精市にそう伝えておいて。」
「慶、行くぜよ。」
「うん。」



肩を並べて歩く二人。



「よかった、仲直りしたみたいで。」
「にしても判りやすいっスね〜。」
「あ、赤也!?おはよう。」
「おはようっス。」



何時の間にか背後には赤也。
赤也も私と同じように二人を見送っている。



「やっぱり二人はああでないとね。」
「そうっスね。これで俺も平和に暮らせるっス。」
「・・・不機嫌だったもんね、雅治君。」



慶が精神安定剤みたいな所在るもんなぁ・・・。
大人だなぁと思っていた彼の印象。
確かに大人っぽいとは思うけど、今はそれ以上に年相応なんだなと思う。
好きな子にちょっかいかけたり、鬱憤晴らしに人に当たってみたり。
その当たられる確率が高い赤也はほっとしてるみたい。



「本当に良かった。」



やっぱり、二人がいいよ、私は。



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