Entfernug

□PHASE−001
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「アスラ〜〜ン!」



ある日の学校の帰り道、レモーリンが俺に声をかける。



「レモーリン?」



はあはあ、と肩で息をしている彼女に大丈夫?と聞くと大丈夫と返って来た。



「明日うちで夕飯食べて行かない?」



レモーリンの料理は美味しいし、特に明日予定もないので断る理由はない。
頷いたら何故かレモーリンはホッとした顔でまた走って行った。
じゃ、また明日、と云い残して。

次の日学校へ行くと何だか何時にも増して見られてる気がする。
特に女子の視線がやたら多くて、ぼそぼそと何事かを囁かれている気がする。



「アスラン。」



そこに現れたのはキラ、ラクスコンビ。



「キラ、ラクス。」



俺は足早に二人に近付いて訊ねた。



「なあ、俺の顔に何か付いてるか?」
「目と鼻と、口くらいだけど・・・?」



キラ・・・、それなかったら逆に困るから・・・。



「それとも服装が可笑しいのか?」
「いいえ。」



ラクスも首を振る。
じゃあ一体何なんだ・・・?



「アスラン、そんな事よりこれ。」



これ、と云ってキラは箱を取り出す。



「僕とラクスからの誕生日プレゼントだよ。」



誕生日・・・プレゼント・・・?



「って今日俺の誕生日だったんだ。」
「何?もしかして自分の誕生日忘れてたの?」
「アスランってしっかりしているようで、時々抜けていますのね。」



視線の意味がやっと判った。
今日が俺の誕生日だったから、皆俺の方を見ていたのか。



その後三人で教室に向かったら、俺の席は既に箱の山を形成していた。
休みの度に綺麗にラッピングされた箱や袋を持って来る女の子。
ディアッカが憎いね旦那、とか云っていたな。

唯一自由になる授業中、俺の隣の席を盗み見る。
レモーリン・・・、今日は来ないのか?
誰も座っていない席が妙に空しかった。



『明日うちで夕飯食べて行かない?』



携帯に連絡しても返事がないので、俺は一応店を訪ねる。



「レモーリンいる・・・?」



パァンパァン



中に入ったと同時に飛んで来たのはクラッカー。



「アスラン、お誕生日おめでとう!」



そこにはレモーリンの姿。



「レモーリン、ダッドさん、母上・・・、父上まで・・・。」



テーブルの上には色とりどりの料理。
どれも俺が好きなものばかりだ。



「学校休んで頑張っちゃった。」



そう云ってくれたのが嬉しくて・・・。



その後皆でレモーリンの料理を堪能して。

俺は祝ってくれたのは嬉しいけど学校は休むな、とレモーリンに説教したのだった。





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