なんでも屋

□閑話
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『賞』



ニュースの時間帯。
何となく点いていたテレビから流れるアナウンサーの言葉に、刹那は手を休めた。



「本日、大学教授で在る伊礼富雄(いらいとみお)さんが、ノーベル化学賞を授賞されました。伊礼さんは・・・。」
「へぇ〜、伊礼さんが・・・。」
「・・・知り合いか?」
「うん、まぁね。前に同じ研究所に居た事が在るんだ。」



微笑ましくテレビを見る刹那に、年齢偽ってるんじゃないか?と思う桃司。



「お前もやたら貰ってそうだよな、賞とか。」
「まさか。私は賞なんて一つも貰ってないよ?」
「そうなのか・・・?」



意外だ、と桃司。
二桁も取っていても可笑しくはないと思っていたと。



「うん。だって全部断ったもの。」
「・・・・・・。」



・・・刹那さん、それは貰った事ないとは云わないのでは・・・?
眉根を寄せる桃司だったが、まぁ刹那らしいかと納得したのだった。




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