テニスとテニス

□第十話
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「安芸先輩、お肉切れたです。」
「じゃあ、軽く火を通してくれ。」



グラニュー糖よし。



「安芸先輩、野菜も切れました。」
「じゃあ、肉の後にちょっとじゃがいもの表面を焼いてくれ。」



小麦粉よし。



「路瑠、次は?」
「・・・てかよ・・・。お前ら・・・。」



俺は卵を割る手を止めて、後ろの三人を振り返る。



「カレーくらい自分達で作れよ!いちいち俺に聞くんじゃねぇ!」



怒りながらもちゃんと掻き混ぜてる俺。



「だってぇ、私自慢じゃないけど料理音痴なのよ?」
「ほんとに自慢じゃねぇな。」
「路瑠だって知ってるでしょ?」
「だって安芸先輩の方が手際がいいんです。」
「俺はケーキ作ってんだよ。」



クリームも作ったし、次は・・・。



「だから路瑠、次は?」
「鍋に水入れて野菜を煮込め〜!!」
「「「了解!」」」



コンロには鍋三つ。
何せ約30人分なので量が半端じゃない。
然もその誰もが育ち盛りの男達。
鍋三つじゃ足りないかもしれねぇな。



「安芸先輩、カレー粉入れ終わりましたです。」
「フルーツ切ったよな?」
「お皿に分けて、冷やして在ります。」
「よし、じゃあお前ら・・・。」



俺は榊監督お得意の行ってよしのポーズを取る。



「退場。これ以上、俺の邪魔すんな。」



やっと三人を追い出して、台所には俺一人。
俺は今オーブンと睨めっこ。
只今スポンジ製造中。
冷やしてクリーム塗って・・・、夕飯に間に合うかねぇ。

俺はケーキと連呼する赤毛を思い出す。
ま、楽しみにしてくれてる奴もいる訳だし、頑張りますか。
それに・・・・・・。
あいつの機嫌を直す為にも・・・。
俺の手には奴の好物、栗が握らいていた。



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