四面楚歌

□第四話
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「皆、トーナメントの結果出たわよ。」
「慶。」



慶の声を聞くや否や、歩み寄る雅治君。



「慶、何で声かけてくれんかったんじゃ?誘ってくれれば一緒に行ったもんを・・・。」
「貴方試合してたじゃない。」
「それで結果は如何だったんですか?」
「ええ、私達の第一試合の相手は銀華って処。」
「銀華・・・?聞いた事ねぇなぁ・・・。」
「そうなの、調べてみたんだけど、地区予選はどれも不戦敗。」
「ふん、敵ではないな。氷帝は如何なった?」
「・・・・・・それが面白い事になったのよ。」



私でも知っている氷帝と云う全国にも顔を出す学校と。
赤也が度々口に出す手塚って人がいる青春学園が初戦で当たったと。
慶はおろか、弦一郎君や蓮二君まで興味深そうな顔をしていた。



「じゃあ私、これを精市に報せてくるわね。」
「俺も一緒に・・・。」
「仁王君、貴方はこれから試合でしょう。」



比呂士君に耳を引っ張られて、無理矢理慶から剥がされる雅治君。



「じゃが慶一人じゃ道中危ないじゃろう?」
「大丈夫よ、従弟と一緒に行くから。じゃあ待たせてるから行くわね。」



試合頑張ってと背を向けて行ってしまった慶と。
その場に固まってしまった私と雅治君。



「「・・・・・・従弟・・・?」」



慶が口にする従弟。
その固有名詞を聞いた事は誰一人としていない。



「・・・私、見て来る。」
「零さん、貴方まで何云ってるんですか!?」



慶の後ろを追おうとした私と雅治君。
然しそれは比呂士君によって、はやり阻まれるのでした。



「お待たせ。あれ?一人?」
「ああ、用事が在るとかで、先に帰った。多分気を遣ったんだろう。」
「そっか、悪い事しちゃったかしら?」
「心配ないだろう。近いうちにまた会える。」
「そうね。」




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