四面楚歌

□第五話
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「ねぇ、蓮二。これから偵察に行くのってもしかして・・・。」



私が蓮二に訊ねようとした時には既に目的地に着いていたようで。



「おっとお、手塚さんの試合間に合いましたね。」
「王者立海大附属も来ている!!」



周りの視線を集める私達。
隣に立っていた零が驚いて肩を竦めた。
赤也君が手塚と呼んだ人がコートから此方を見上げる。

やっぱり、弦一郎達が警戒していたのは・・・・・・。



「国光・・・・・・。」
「慶か・・・・・・。」
「え?え?慶、知り合い?」
「・・・・・・。」



困惑する零に何も云わずに私は階段を降りて行く。



「なあ、あの娘・・・。何処かで見た事ないか?」
「ああ・・・。何処でだったかな。」



恐らく国光を見に来た記者達が私を見て云う。
私はそれを無視して国光に近付いた。
既にコートに降りているので触れる事は出来ない。



「・・・本当に出るのね、試合。」
「・・・ああ。」
「・・・気を付けて・・・。」
「ああ。」



振り返った国光とどよめくギャラリー。



「・・・不二先輩、今の見ました?」
「うん・・・。手塚が笑ったね。」



青学のユニフォームを来た帽子を被った少年と、女の子と見間違うほど綺麗な男の子。



「一体何者なんスかあの人。」



そんなに驚く事なのかしら、国光の笑顔。



「・・・や、緒方。」
「久し振り、大石。」



疑問符を飛ばす私の肩を叩いたのは大石。



「大石、知り合い!?」
「まぁね。」
「あ、貴方この間、勝手に帰ったでしょ?」
「いや、久し振りの再会邪魔しちゃ悪いかなって。」
「ちょっとちょっとちょっと!慶、一体如何云う事!?」



零が慌てて上から駆けて来る。



「如何云う事って?」
「あの眼鏡君とこの卵君!如何云う知り合いな訳!?」
「そうだよ大石!一体この子何者な訳!?」
「何者って・・・。」



私と大石は顔を見合わせる。



「国光は私の従弟よ?」
「彼女は手塚の従姉だよ。」
「従姉弟〜!?」



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