四面楚歌

□第六話
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「国光なりに気を遣ってね、右で相手をしていたのよ、先輩達の。」



それほど実力の差は激しかった。
でも中には自分の弱さを認められずに、国光に・・・。



「ふざけるな手塚!テメェ、先輩を何だと思ってんだ。」



今から思えば負けて気が立っていたんでしょうね、その先輩も。



「コノヤロウ。左利きのクセに右でやってやがったんだぜっ。はーん俺達に相手に利き腕はいらねぇんだとよ!!」



何を云われても静かな国光の態度は更にそれを煽った。



「小学生のチャンピオンだか知らねーが、俺達青学が新一年にナメられてたんだぜ!もうガマンならねぇ・・・。そうだよな左手使わねぇんなら―。」



先輩は怒りのままラケットを振りかぶり、




「こうしてやるよ!!」



国光のヒジに振り下した。



「私もその光景を見て頭に血が昇っちゃってね。」



私はその時自分が左肩を壊して、精神的に参っていたと云うのも在る。



「てめぇ!!国光に何すんだ!!」



私もまた怒りのままに拳を振り下ろした。



「え?ちょっと待って?この『てめぇ〜』って文、慶?」
「ええ、まぁ。」



再び殴ろうとした私を止めたのは国光。



「慶、止めろ。」
「止めねぇよ、だって此奴!!」
「慶!!」
「っ・・・。」
「・・・・・・・・・ふざけるな。」
「国光・・・。」
「あなた達は何年テニスをやってんだっ!!ラケットは人を傷つける為にあるんじゃない!!」



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