四面楚歌
□第七話
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「て、手塚部長ーっ!?」
「!?」
顔を上げた私の視界に入ったのは肩を押さえ、膝を付いた国光。
その姿は何もかも二年前の私と同じだった。
「国光!?」
青学の人達が駆け寄って行く。
「来るなーっ!!」
国光は肩を押さえながら、その震える手でラケットを拾った。
「戻ってろ!・・・まだ試合は終わっていない。」
・・・・・・何て強いんだろうこの従弟は。
周りが止めるのにも構わず、国光は再びコートに立つ。
再開した試合はタイブレークに持ち込まれた。
国光を襲っている痛みがどれほどのものかは判らない。
でも・・・・・・。
負の感情を滅多と表さない彼の顔にありありと浮かぶ苦痛。
そんな顔をしてそれでもラケットを振るう戦士を、誰が止める事が出来るだろうか。
国光か跡部か。
圧倒的に国光が不利な筈なのに・・・。
「34−34、35−34、35−35・・・。」
誰もが魅了され、胸打たれた。
二人が作るそのテニスに。
「ゲームセット。ウォンバイ氷帝学園跡部!!」
「うおおーっ本当にあの手塚に勝ったぁー!!」
「ス、スゲェさすが跡部部長だ!!」
「負けちゃったね、手塚君。」
そうね、と返しながら私は苦笑した。
私は誇りに思う。
最後まで戦い抜いた貴方を。
「国光・・・。」
「・・・慶・・・。」
「・・・お疲れ様。」
「ああ・・・・・・。」
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