Entfernug

□PHASE−2
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「ん〜、熱はないみたいですね。」
「・・・・・・。」



嘔吐感が一気に引いていく。

・・・・・・温かい・・・。

額に触れられる手は優しくて、柔らかい。
俺の知っている痛みや、強引さは其処にはなかった。



「ごめんなさい、荷物、そんなに重かったですか?」



如何やら彼女は俺の顔色が悪いのを、荷物が重かったせいだと取ったらしい。



「・・・プッ。」



幾ら何でもそれはないだろう。
俺だってこんなだけど、一応男な訳なんだし。
と云うか体力には自身が在る方なんだけど・・・。



「へ?」
「くく、いや何でもない。もう大丈夫だよ。」



一頻り笑った後、俺は立ち上がる。
彼女もまた不思議そうな顔はしていたけど、立ち上がる。
まだ少し荷物持ちましょうか?とか云うもんだから、俺はまた笑ってしまう。



「何ですかぁ?さっきから。」
「いや、本当、何でもないから。」



何だろう、この感じ。
今まで肩に乗っていた何かが取れたようなそんな感じ。



「あ、そう云えばあの時計直りましたよ?」



そう云って、私が直したんです!と胸を張る彼女。



「・・・君が・・・?」
「はい!おじさんったら『俺には向いてねぇ。』とか云って私に押し付けたんですよぉ。」



『器量も悪くねぇし、機械の話も判る。持って来いの人材だと思うぜ?』



ふいにダッドさんの言葉を思い出した。

・・・・・・悪くないかもしれない・・・。



ダッドさんの店へと向かう道、俺と彼女は機械の話をした。
先程よりは少しだけ、歩く距離が近くなった気がした。



「・・・・・・ねぇ、あれ・・・。」
「・・・隣にいるの、女の子だよね・・・?」
「嘘、だってアスランさんは・・・。」
「・・・・・・何、あの女・・・。」



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