Entfernug

□PHASE−4
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「レモーリンさん、失礼するよ?」



云われた通り一番奥の部屋に辿り着いた。
ドアをノックしたのは良いのだが、中から返事がないのでそっとドアを開ける。

・・・・・・寝てる・・・・・・。

返事がないのもその筈、彼女は机に突っ伏したまま夢の中。
右手にはスパナ、左手にはドライバーを握りながら・・・。
彼女の頭の直ぐ傍には作りかけの・・・ロボットかな・・・?



「スー。」



レモーリンさんからは穏やかな寝息。
余りにも幸せそうに眠っているから、知らない内に俺の頬も緩む。
顔にかかった前髪を払うと、微かに声をもらす。

確かに整った顔、しているな・・・。
何分俺の周りが美形だらけなので感覚が狂ってはいるが。

筋の通った鼻、長い睫毛。
白い肌に、桃色の頬。
形の整った唇には赤みが差していて・・・。



「ん・・・。」
「!?」



彼女が身じろぎしたと同時に、その場から一気に離れる。
気付けば彼女の顔をとても近距離で見つめていた。

俺、今何をしようとした!?

本当に無意識に顔を寄せていた自分に赤くなる。
それを払うようにブンブンと頭を振ると、彼女が目を覚ました。



「ん・・・あれ?」



最初は視界か、思考か、どちらにしても定まらないようで、暫くボーっと俺を見る。



「に゛ゃ!?アスランさん!?如何して此処に!?」



と思えばかっと目を見開いて驚きの声を上げる。
本当にくるくる変わる表情だ。



「ダッドさんに聞いて・・・。」



笑いを堪えながらそう告げると、口を尖らせる彼女。



「おじさんめ・・・。」
「それ、君が?」
「え?あ、はい。」



それ、っと云って机に乗っているロボットを指す。



「後少しなんですけど、如何しても此処の回路がうまく繋げなくて・・・。」
「此処はM字よりもS字の方が良いかな。で、このα管はγ管の方が良いね。」
「あ、そっか〜。」



早速俺の云った通りするとロボットは正常に動き出す。



「出来た〜!!」



両手を上げて喜ぶレモーリンさん。
さっき拗ねていた顔はもう何処にもない。



「有難うございます、アスランさん!お詳しいんですね。」
「まぁ、これでも現役の学生だからね。」



お前なら力になれるだろっと云った言葉の意味がやっと判った。



「・・・・・・へ?」



俺が学生だと告げると、何とも間抜けな声を出す彼女。
俺はそれに首を傾げる。



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