Entfernug

□PHASE−8
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「おらおらおらおらー!!」



その時ガシャンと云う音と共にガラの悪い声。



「何だぁ?」



入口には場違いな黒スーツとサングラスをかけた男が三人ほど。
俺達は全員で盛大な溜め息をついた。



「まだ居られるんですのね、こう云う頭の悪い方。」
「あはは、そんなほんとの事云っちゃ駄目だよラクス。」
「・・・俺はそれを笑顔で云う二人が怖い。」
「同感。」
「おう兄ちゃん達、威勢が良いのは良いがな、植木、直してってくれよ?」



先程の音の正体は、入口付近に飾って在った観葉植物の鉢が割れた音。
ダッドさんは男三人に臆する事なく近付いて行く。



「あーん?俺たちゃ客だぞ?客にそんな態度取って良いのか?」
「客なら客らしい態度を取って貰いたい、ね。」



ダッドさんは男の一人にマイナスドライバーを向けた。
・・・微妙に危ない。



「修理なら物出しな。只の冷やかしなら・・・。」
「お帰り願いまーす。」



隣から聞こえた明るい声に、思わずそちらを向いた。



「レモーリン・・・?」



レモーリンが肩に担いでいるものを見て目を丸くする。
彼女は如何見てもキャノンを担いでいた。



「今から十数えますから決めて下さいね?十、九、八、七・・・。」



レモーリンの目は冗談を云っているようには見えなくて。
いや寧ろマジだ、目が笑ってない。



「ろ〜く、ご〜、よ〜ん・・・。」



カチッとトリガーを引く音が僅かにする。
男達は一気に顔を青ざめた。



「三、に〜・・・。」
「うわぁあああ!!」



良い大人がみっともない。
腰を抜かしたような覚束ない足取りで男達は逃げ帰って行った。



「結局何だった訳?」
「さあ?」
「逆に可哀想だな。」



此処まで怯えられないと。
店には他に客は居なかったので、慌てる者が誰一人として居なかったのだ。
生憎と俺達はこう云う状況に慣れきっている。
あの三人からしてみれば、わー、とかきゃー、とか予想していただろうな。



「で、リクエスト在ります?アスラン。」



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