Entfernug
□PHASE−9
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「さてと。」
俺は皆よりも一足早く学園に辿り着いた。
本来ならレモーリンと一緒に行きたい所だが、そうもいかない理由が出来た。
「理由は判ってるよな。」
彼女の肩がびくんと震えた。
彼女と云うのはルナマリア・ホーク。
「これ、君の仕業だな。」
俺の掌の上には、昨日レモーリンの家に設置されていた盗聴器。
ルナマリアが明らかに怯えているのは判る。
でも怒りは止められない。
今は気持ち悪さよりも怒気が勝っていた。
「何故、こんな事をした。」
例えどんな理由を並べられても許す気はないが。
「それは・・・、だって・・・。」
俺は思い切り壁を殴った。
そう、彼女の顔の直ぐ横を。
「っ・・・。」
「二度目はないと思え。」
俺はルナマリアに背を向けた。
彼女はそのまま腰を抜かしてしまったようだ。
俺はすぐさま水道に向かい、口の中に水を流し込んだ。
・・・気持ち悪い。
自分でもよくあの距離を耐えられたもんだと思う。
「・・・アスラン?大丈夫かい?」
「キラ・・・。」
キラの姿を目に留めるや否や、俺はその腕に倒れ込んだ。
「・・・よく頑張ったね。」
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