■Yaneura Dream■
□花束と…
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私は小さな小さな花屋を経営している。
お店のある立地条件は正直に言って最悪でいくら土地自体が安くても赤字は付いて回った。
それでも、人通りが無くて埃っぽくて他にお店が無いような所でも私はギリギリまでここにいるつもりだった。
そんなモノクロの世界に少しでも良いから絵の具を落としたかった。
でも売り上げが無いに等しいお店がいつまでも存在する訳じゃない。
私は今日も砂埃を落ち着かせる為に水を撒いてはため息を吐いた。
時計を見ればお昼ご飯には少し遅い時間。
この時間になるといつも一人の男性が通る。
初めはいつか花を買ってくれる日が来るかと胸を弾ませてたいたけれど、その人はいつも一瞬私を睨み付けけてそのまま通り過ぎる。
睨むのも目付きが悪いだけとか思った日もある。
でもそう思い込ませる事はできなかった。
何故ならば買い出しに町へ出掛けた時にたまたま見つけたあの人は目付きが悪いようには見えなかったから。
いや、多少は悪かったけど睨まれてる時のが明らかに酷い。
私はまた軽くため息を吐いて蛇口を捻った。
ホースを巻き取っていれば、ほら来た。
だるそうに歩く赤い髪の男の人。
私が店表に立ってたせいでいつもより早く彼を見つけた。
そうすると、睨まれっぱなしは嫌だから、今日は先手を打ってみようかなっとか考える余裕ができる訳で……
「こんにちは」
私は睨まれる前に営業スマイルで挨拶をした。
彼はスッゴク驚いてて、初めて睨まれなくて。
私は思わず小さくガッツポーズをしてしまった。