■Another Dream■

□白い口付け
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厚すぎず、薄すぎず。

私は柔らかく光る太陽を見上げた。

雪も溶け、湿った土からは若々しい緑が覗く。

それでも直接当たらない日差しに私は両肩を抱いた。

そのまま上下に軽く擦れば僅かながらに熱が起こる。

積み上げられた外壁は擦れ、風化し周囲に粉を撒き散らしている。

それでも角に丸みを帯びる程度で未だ山のようになっていた。

その山のうちの一つを通り過ぎようとした時、粉となったコンクリートがさらさらと零れた。

見上げると捜していた人物が器用にそこで眠っている。

不安定に積み重なっているそれには近付く事もできず、下からぼんやり見上げていた。

彼が小さく身動ぎをすると体の下のコンクリートが小さな小さな欠片を落とす。

それはころりと転がり彼の手にぶつかった。

何度もぶつかって落ちた欠片は落ちる前より小さくなっていた。

そうっとそれを手に取ると恋を象った形の様に見えた。

それは掌でころりと転がった。



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