終わらない明日へ

□わがままお姫様
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「最近疑問なんだが…」

「ん?どうしたの?」

カガリに生返事をしながら首を回していい音を鳴らす。視線だけ掛け時計に移動して時間を確認すると、そろそろ仕事切り上げないとなぁ、とぼんやりと思う。

「お前さ、一人でオフの時間取るときあるよな?何してるんだ…?」

「アスランとデート!…あはは、なんて冗談…」

キラの向かいでデスクワークに勤しんでいたアスランが吹っ飛ぶ。理由はいわずもがな、オーブの怪力お姫様が目にも留まらぬ速さで殴りとばしたからだ。

「…カガリ、冗談だったんだけど…」

ひきつり笑顔でカガリをなだめようとするキラだったがときすでに遅し。

「アスランお前…ったまには姉弟水入らずでオフを過ごそうという私たちに遠慮しろよ…!」

アスランの胸ぐらをつかみあげ啖呵を切るカガリの姿が。

「いったい何のことだ…がは!カガリまた腕をあげたな…」

「ふん!国家元首たるもの、日々の筋力トレーニングを怠るわけにはいかないからな!」

アスランを締め上げたカガリはそのままアスランを投げ捨てた後、満足そうにパキリパキリと指の関節を鳴らした。勝手に勘違いしたカガリにも非はあるが、元はといえばキラの冗談が原因でアスランがのされてしまったので、とりあえずアスランに向かって小さく謝っておく。

「キラッお前もお前だ!私よりこんなヤツを選ぶのか?!」

いつものこととはいえど、アスランのひどい言われよう。ついつい同情したくなる。

「だから、冗談だよ…」

「…なんだ〜。…待て。なら誰とどこで!何してるんだ?!」

「ん〜…それは秘密だよ」

にこり、とキラに微笑まれればカガリは何も言えなくなる。それと同時に、カガリは絶望の淵に立たされるのを感じた。





「うわぁああ!!キラに好きなヤツが出来たんだ!だから私にあんなこと言ったんだ!最近一人でオフ取ってるのもそのせいなんだぁあー!!」

「……おい」

「なんだよ!いつまでも弟離れできない私が惨めだとでも言いたいのか?!悪かったな!!けれどお前だってその年で婚約者の一人もいないじゃないか!」

「貴様…急に俺を呼び出しておいて愚痴を聞かされたと思えば…そもそもどうやってここまで来た!」

イザークはこめかみをピクピクとさせながら、思わずテーブルをちゃぶ台返ししそうになるのを必死にこらえていた。場所は変わって、カガリが訪れたのはジュール邸。単身変装してプラント行きのシャトルに乗り込んだことは、カガリにとっては朝飯前だ。

「そんなことどうでもいいだろ!」

「よくないわ!!お前はオーブの国家元首だろう?!自分の立場をわきまえろ!」

「うるさいな!国家元首にだって愚痴の一つくらい言わせろよ!」

「別に愚痴を言うなとは言ってない!弱音を吐きたくなることは誰しもあることだ…」

「なんだ、嫌に優しいな。気持ちわる…」

「出すぞ。叩き出したあげくキラに貴様の居所知らせるぞ」

「うわーうわー!悪かったからそれだけはやめろーっ!!」

「……」

イザークは何度目かになる溜め息をついた。

「なぜ俺のところにまで来る必要がある。オーブにも愚痴を聞いてもらえる人間はたくさんいるだろう?たとえば…、アスランは」

「ダメだ…!アイツもキラを狙ってるかもしれないんだ!」

「…お前どこかで頭でも打ったか?アスランはまごうことなき男だろうが」

「そんなの関係ない!!ラクスやルナマリアやミリィももしかしたら…いや、その中に確実にいるんだ!キラの好きなヤツが…!」


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