終わらない明日へ

□小話
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「キラァアア!!」

バターン!!

そう嵐のごとく駆けこんできたのは、その名を連呼しまくる某幼馴染みではなく、

「会いたかったぞっ!!」

どっかのプロレス技をかけられてるんじゃないかと錯覚を覚えるほどの抱擁をかましてくるお姉様だった。




【Happy☆Birthday】





ぎゅうぅう

いまだ抱きついたままのカガリにされるがまま、キラはぼんやり考えた。






現在から遡ることおよそ一週間。キラは会議に出席しているカガリに代わって、デスクに山のように積まれた書類を処理していた。

そこに。

バタァアン!!

『キラァアアア!!!!この国はもうダメだッ!!』
『カガリどうしたの?!会議、うまくいかなかったの?』
『5月18日!!何の日かわかるな?!』
『うん。カガリ、3ヶ月くらい前からこの日だけは絶対休み取るんだ、って言ってたもんね』
『こともあろうにその日にプラントの評議会議長との会談をあのデコが勝手にスケジュール組んでたんだ!!私があれだけ何度もその日はありったけの職権濫用して休みをブン取ると言ってたのに!!』

アスラン、生きてるのかな…

『とりあえずヤツは両手両足におもしくくりつけてオーブの海に沈めたが、会談の日はもう決まってしまってるんだッ!くそっどうしたら…』

アスラン、ほんとに生きてるかな……

『カガリ、落ち着いて?別の日に誕生日パーティーするのでもいいじゃないか。確に残念なことだけど…』
『いいや!その日に祝わなきゃ意味がないんだよ!お前の休みでさえやっとのことで確保したんだ、私も会談なんてドタキャンしてやるさ!』
『そんなことしたら国家の一大事だよ!!だからカガリ、また今度に…』


回想、終わり。






「カガリ君ほんとにドタキャンしてきたの?!」
「あぁ後のことは大丈夫だ!あのデコに全部頼んどいたからな。というか、もとはといえば全部アイツのせいだし当然だろ?」

まぁ、自業自得といえば。しかしアスランもアスランだ。しっかりしてるようで、抜けてる、というよりヘタレという表現が見事に似合う。

「ほんとに大丈夫なの…?テレビつけるよ?テレビ、オン!」

まさか騒ぎになったりしてないだろうか。キラの声に反応してテレビの電源が入った。そんな、まさか。いくらカガリでも国家の、いや世界の一大事にもなりかねないようなことをしでかすわけない、そう信じたい。今日が5月18日ですでにプラントに旅立ちオーブにいるはずのないカガリが今ここにいるのだとしても。

そう、何かの事故で会談が中止になったとか。



ほんの少しの期待を持って、キラはテレビを見た。


『カーガーリィイイイ!!』

額に肉と書かれたアスランがものごっつい形相でテレビに現れた。

『俺が悪かった!!だから帰ってきてくれぇえー!!』

浮気がバレた夫の言う台詞のようだった。リポーターが画面の端においやられ、すごく迷惑そうな顔をしている。

「ちっ…」

アスランの手には黄色いハロが収まっていた。『デコ、マカセタ!デコ、マカセタ!』としきりに繰り返している。画面の右下には、『オーブ国家元首カガリ・ユラ・アスハ失踪?!原因は護衛アスラン・ザラ氏の浮気!』なんて表示されている。

「うわぁああ!!君なんてことやっちゃったんだよ――――ッ!!!!」





バターン!!






「ごきげんようですわ☆キラ、カガリ」
「よぉラクス!」
「ラクス―――――ッ?!!」

キラはテレビのチャンネルを替えた。

『ラクスさまぁあー!!どこに行かれたのですかぁ?!』

イザークを筆頭に、親衛隊のみなさまが必死の形相で探索している様子が、テレビに映し出された。

「あっはっは!ラクスもやるなぁ!」
「キラとカガリの誕生日を祝うためならこのくらい何でもありませんわ☆おうちでケーキを焼いてきましたの。召し上がってくださいな」
「わぁ!おいキラ!ショートケーキだ!うまそうだぞ!」

きゃっきゃっと盛り上がる二人を見てキラは思った。ラクスっていつのまに評議会議長になったの?てか、会談は?

「会談はここでできるし一石二鳥だな♪」





☆★Happy Birthday KIRA & CAGARI★☆


終劇!
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