終わらない明日へ

□ブラコンVSシスコン
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「キラ〜?」

シンはあからさまに、げ、と顔を歪ませた。その声には聞き覚えがあった。今はもう憎い、嫌いといった感情は抱いていないものの、やはり苦手意識の拭えないあの人物が脳裏にありありと浮かびあがる。

「あ、カガリかな」

足音が段々近づいてくる。

「キラどうしたんだ?車の音がしたのになかなか家に入ってこないから…、ってシン・アスカ。何してんだこんなとこで」

うわ、やっぱり…、と落胆露わにシンは助手席側の窓から覗きこんでくるカガリを見た。

「何だよその顔。…まさかお前、例のストーカーか?!」
「は?!何の話だよ!」

カガリは声を張り上げるなりシンに掴みかかった。

「このところアスハ邸付近をうろついてる不審人物がいるとの情報が入っているんだ。差出人不明の手紙がキラ宛に何通も来るし…お前が犯人じゃないのか?!」

シンが一瞬きょとんとした表情になり、斜め上からカガリの斜め後方にゆるりと視線をずらした。

「ち、違うであり…ます」
「何だよ今の間!!明らか怪しいぞ!目泳ぎまくってるだろ!さらにその上口笛吹いてみるな!疑ってもらいたいのか?!」
「そんなつもりはなかったんですよ!そりゃ手紙は何通か出したし家の前でキラさん待ってたこと何回かありましたけどっ、」
「何通かとか何回かとかいうレベルじゃなかったぞ!!お前の目撃回数も手紙の数もふたけたゆうに乗ってるのわかってるのか?!」
「キラさんに直接会ってどうしても伝えたいことがあったんですよっ!」
「伝えたいこと…?カガリ、ちょっと待って。シンはただのストーカーじゃないみたいだよ」
「だからストーカーじゃないってさっきから言ってるだろ!いったい何なんですかあんたたちはー!!」
「それはこっちの台詞だ馬鹿者!」

カガリに思いきり殴られシンは目尻に涙を浮かべる。

「ッテェー!!」
「で、なんだ?申し開きがあるなら言ってみろ。事と次第によっては即刻オーブの海に沈める」

シンは口を尖らせ、ふてくされながら仕方なくぼそぼそと話し出した。

「キラさんにこれつけてもらいたかったんですよ」

シンがそう言ってポケットから小さなゴムを取り出した。

「意味がわからん…」
「それだけじゃなくて!こう、左と右それぞれ髪を束ねて…」
シンが勝手に、後ろ髪は残したまま、キラの横髪をとってゴムで右左それぞれ束ねる。


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