日記小咄

□無明
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暗闇の中
息を潜めて狙った獲物は お前一人


無明KA



夜が似合うと
真昼の空の下で言った子供は
夏のひまわりのように無邪気に自分に笑いかけた


幼い肢体を不釣り合いな団服で包み
たまさかに見える項や手首は壊れそうな程に細く
無意識に悪意無くどうしようもないほどに自分を誘う


「俺が夜ならそのまんま」

髪の色じゃねぇか…くだらねぇ

舌打ちをして見せれば子供はきょとりとさも不思議そうな顔をして自分を見上げた

それほどまでにこの子供は小さいのだ

「髪の色…のイメージもありますけど」

神田は月の無い夜
無明の闇です


さらりと子供は心底酷い言葉を口にする


「なら、俺は無明に道に迷い墜ちるしかねぇな」


いっそ似合いな自分の最期に
子供の言葉は魂を得てしまった


「光が無い…だから、落ち着くんじゃないですか」


子供はついとうれしそうに言う


「それに無明に煌めく六幻はきっと綺麗」

迷うくらいに


六幻の煌めきに光明を得た子供は宝物をそっと教える仕草で言魂を篭めた


「光明ならもう一つあるぜ」


六幻を子供ほどに光明と思わない男は


「てめぇの躯のほうが闇夜に映えて誘うだろう」


一瞬考えた子供はさっと首筋までも朱にそめてしまい
酷く男をご機嫌にさせてしまう
無意識に




「うだうだ言ってねぇで脱がせろよ
それとも今夜はお預けかアレン」


ベットに押し倒した子供の躯は細く神田の喉が鳴った


「僕、ぁ…いや」

「聞こえねぇー」


無明に現れたアレンの
髪までも白い躯が
きらりと煌めいて神田に全て隠されてしまった






暗闇の中
息を潜めて狙った獲物は 愛しいお前一人




 

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