日記小咄

□オーバー
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オーバー

・・・・・・・・・



「俺がわかるか…もやし」

自棄に聞きずらい神田の声に僕はどうやら眠っていたらしい

「…かん…だ…?」

「ああ」

僕は眠くて眠くて瞼を開ける事が酷く億劫で
できるならほって置いて欲しい

「だい…で、す、」
へいき

神田は何も返事をしないで僕が寝ているベットに入って来た


何をする気だろう


胡座をかいた彼に抱き起こされて
神田の膝の上に座らせられてしまった

僕を大丈夫と聞くけど
彼こそ大丈夫なのかな


ナイトテーブルに置かれた水差しを持って彼は僕に飲ませ始めた

喉が渇いていたからちょうどいい

けど、いつまでも水を飲ませてくる
よく見ればナイトテーブルにもテーブルにもたくさんの水差し

誰が飲むのかな…

「飲むんだ」

「も…いらな…」

水ばかりそんなに飲めない

でも神田は飲めと言う

「もう、飲めませんよ」
ラビ


あれ?

僕の目の前にいるのは神田なのに


「あ、ごめんなさい、ラビ」


変だ頭では分かってるのに神田、って言えない

「ラビでもなんでもいい、今はとにかく水を飲め、」

無理矢理飲まされた水はコップを持つ手が震えてしまう

「ごめんなさい、らび、あっ、かんだ」

「今はいい、何も気にするな」


とうとうコップを持てなくなった僕に神田が案外器用に僕に水を飲ませてくれる

飲むんだ、今はこれしか出来ない、とにかく

飲んでくれ


なんだからしくない彼に笑いが込み上げてしまった

「へんなラビ」

あっ僕お腹空きました
何か食べたいです、パスタ、ペンネ、ラザリア、グラタンな気持ちです
なんだか偏ったメニュー


「少しならある」

僕は驚いてしまって
差し出されたペンネをかじった

「うまいか」

「はい、ありがとうございます、らび」

ありがとう神田って言いたかったのに

神田は仕方ないって笑った


冷えたグラタンやパスタを食べながら水差しは減っていく


おいしいです、らび


神田が口移しに水を飲ませてくれる

ありがとう
ありがとう
神田


やっと君の言っている事がわかったよ


間違えると寝てるうちに死ぬさ
あっ脳細胞は確実に死んでる



やっとわかりました
ラビ



僕は楽しくて哀しくてSEXしたくてたまらない
沸騰した頭 走り出したくなるハイな夜
ワイルドターキーは神田に取り上げられた



『オーバー』


あぁ気持ちいい
そしてさようなら
みなさま

 
fin

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